2040年問題 地方の自主性を尊重せよ

 高齢化がピークを迎え、人手不足も深刻化するとされる「2040年問題」は地方にとっても待ったなしの課題である。

 地方行財政制度を検討する第32次地方制度調査会(地制調)が設置され、2040年問題に対応する地方自治の在り方を検討することになった。

 そこで注文したい。人口減や高齢化が進むからといって、地域を放棄するようなことを地方に強いてはならない。

 また、地方はそれぞれ独自の地域事情を抱えている。国が一律に方向を決めるのではなく、あくまで地方が自主的に決める分権的制度を構築したい。

 2040年とはどんな年か。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、人口は1億1091万人で15年国勢調査より1618万人も減る。団塊ジュニア世代が65歳以上になり、高齢者数は3920万人と534万人も膨らむ。逆に15~64歳の働き手世代は5977万人で1751万人も減る。

 厳しい数字が並ぶ。地方でも9割以上の市町村で人口減が見込まれる。人口減は税収減にもつながる。

 有識者による総務省の「自治体戦略2040構想研究会」は「このままでは住民の暮らしと都市機能を保てなくなる」と指摘した。危機感は共有したい。

 地制調はこの研究会と、小規模市町村の議員のなり手不足対策を検討した同省の「町村議会のあり方に関する研究会」による二つの報告書をたたき台に議論する。ただし、両報告書とも地方側の評価は必ずしも高くないことに留意すべきだ。

 2040構想研究会は「個々の市町村が全分野を手がけるフルセット主義を脱却する」とうたい、複数の市町村で構成する「圏域」を行政主体として法制化し、連携して行政サービスを担う考え方を打ち出した。

 しかし圏域内の中心都市に機能が集約され、周辺の衰退を加速したり住民との距離感が広がったりする懸念が付きまとう。既存の「連携中枢都市圏」との違いはどこにあるのだろうか。

 地方議会の研究会は「多数参画型」と「集中専門型」-という二つの新たな形態を提案し、現行制度を含めて自治体が選ぶとした。この報告書にも「国が選択肢を示す手法は集権的」など反発が広がっている。

 地制調は有識者、国会議員、地方関係者の計30人で構成する。初会合で全国町村会長の荒木泰臣熊本県嘉島町長は「押し付けでなく、選択可能な制度を作り、自治体が主体性を持って選択できるようにすることが重要だ」と述べた。全く同感だ。確かな地方の将来像づくりへ徹底的な論議を望みたい。

=2018/07/08付 西日本新聞朝刊=

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