西日本豪雨 全力で人命救助と支援を

 西日本各地の豪雨被害が未曽有の広がりを見せている。時間を追って明らかになる痛ましい光景に驚き、言葉を失う。

 大雨特別警報が出された地域は福岡、佐賀、長崎に限らず計11府県の広域に及んだ。岡山では住宅地が浸水し、広島では崩落した土砂で家屋が破壊された。福岡県久留米市でも1級河川、筑後川の支流が氾濫した。

 死者は確認されただけで100人を上回り、安否不明者もなお多数に上る。救助を急ぐと同時に、被災者の支援に全力を挙げなければならない。

 九州北部、中国、近畿などはきのう梅雨明けしたとみられる。「豪雨一過」とともに暑さや熱中症との闘いも始まった。被災地を中心に各地で地盤が緩んでいる。台風への警戒にも万全を期したい。

 今回の西日本豪雨は、一定の地域に集中した九州北部豪雨(2012年)や九州豪雨(17年)を上回る規模であり、その被害も広範囲に及び甚大だ。

 停滞した梅雨前線に南から湿った空気が流れ込んで豪雨をもたらす‐そのメカニズムは変わらないものの、今回の梅雨前線は西日本から東日本へと広い範囲にかかった。豪雨前に日本海を進んだ台風7号が取り残した積乱雲から、さらに湿った空気が流れ込んだとの見方もある。

 いずれにせよ、過去に経験したことのない豪雨が増えているのは間違いない。気象庁によれば、1日200ミリ以上の大雨が発生する回数は、最悪の場合、今世紀末には20世紀末の2倍になるという。地球温暖化の影響とみられる。

 気象庁は先月、計算能力を10倍に高めたスーパーコンピューターを導入した。降水予測などの精度向上を目指している。総合的な分析と対策を急ぎ、住民の「命を守る行動」を支えてもらいたい。

 生活の場を奪われた人たちの避難生活は長期化する恐れがある。熊本地震(16年)などの被災地には医療、消防、行政関係者やボランティアが全国から駆けつけた。先の見えにくい被災者にとっては心身の大きな支えにもなる。今回も、そうした援助の広がりに期待したい。

 度重なる災害を受けた法改正により、被災者の支援制度は少しずつ前進してきた。それでも自治体の財政力には限界がある。政府の積極的な支援が欠かせない。罹災(りさい)証明書など煩雑な申請手続きを簡素化することも重要だ。自治体職員の負担軽減と併せ、知恵を絞りたい。

 8日夜の段階で15府県の避難所には計2万3千人が身を寄せた。相次ぐ災害の教訓を生かし、ともに助け合い、この窮状を何とか乗り切りたい。

=2018/07/10付 西日本新聞朝刊=

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