河川の氾濫対策 頻発する豪雨を見据えて

 西日本豪雨では国が管理する1級河川を中心に氾濫が相次ぎ各地に深刻な被害を与えた。

 全国で堤防などの整備が進んでいるものの、近年はその進捗(しんちょく)を上回る勢いで豪雨が頻発していると捉えるべきだろう。

 命を守るためにはどんな対策が求められるのか。現状の対応で大丈夫なのか。度重なる被害をハード、ソフト両面で検証する必要がある。

 岡山県倉敷市真備町地区では、1級河川の高梁(たかはし)川に支流の小田川が合流する地点で増水し、堤防が決壊した。合流直後の本流部分に湾曲があり、流れが阻害されるなどの要因が重なったとみられる。

 地区内の約3割が浸水し、建物の屋上などに千人以上が一時取り残された。1972年にも大規模な洪水被害があり、国は湾曲の改修工事を今秋から実施する予定だったという。

 氾濫防止には川幅の拡大などのほか、堤防の構築が欠かせない。多額の費用と時間がかかる。全国の1級河川で堤防が必要な箇所(総延長約1万3400キロ)のうち整備済みは6割台にとどまっている。残りも数十年単位の事業だ。西日本豪雨ではその頼みの堤防が決壊した。

 国は既に新たな堤防強化策を実施している。水に浸食されやすい堤防の上部や、のり面の下部をブロックなどで補強する。九州では遠賀川(福岡県)などの計約170キロを対象に進めている。

 「河川は氾濫する」ことを前提にした対策という。どの程度の雨量にどれほど耐え得るのか。検証を続けたい。

 西日本豪雨の影響で、福岡県久留米市では広範囲にわたって住宅地が浸水した。1級河川、筑後川の複数の支流が氾濫した。本流からの逆流を防ぐため、支流河口の各水門を閉じたのが原因という。

 国、県、市とも住民に対して、水門閉鎖に伴う避難の呼び掛けはしていなかった。避難基準や役割分担などが明確になっておらず、結果として被害を拡大した。重い教訓である。原因を徹底的に解明し、こうした「災害の死角」を一つ一つ、なくしていかなければならない。

 本流に比べ支流の対策は後手に回りやすい。昨夏の九州豪雨でも水位計などが設置されていない筑後川の支流が氾濫した。

 今回の豪雨で特筆したいのは、大雨特別警報の解除から3日後に広島県の河川が突然氾濫したことだ。上流の山中で大量の雨によって緩んだ斜面が崩落し土石流になったとみられる。

 災害は思わぬ形で起きる。堤防などハード面の対策を過信せず、日ごろから避難先の確認など備えを徹底しておきたい。

=2018/07/14付 西日本新聞朝刊=

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