自民党総裁選 政治の在り方問う好機に

 「次の首相」選びに直結する政権党の党首選である。国民に開かれた骨太の政策論争を通じて、この国のかたちや政治の在り方を幅広く問い直す好機としてもらいたい。

 自民党の石破茂元幹事長が来月の党総裁選に立候補すると正式に表明した。連続3選を目指す安倍晋三首相(党総裁)との一騎打ちとなる見通しだ。

 前回は無投票で安倍氏が再選されたため、選挙戦は6年ぶりとなる。石破氏の出馬は既定路線とはいえ、事前の党内調整で無投票とはならずに国会議員と党員・党友の投票による総裁選が実施される意義は大きい。

 振り返れば、自民党が下野していた2012年秋の総裁選は、決選投票で安倍氏が石破氏を破って当選した。

 同年末の総選挙で悲願の政権奪還を果たした安倍政権は、既に5年8カ月の長期に及ぶ。

 この間、アベノミクスによる経済再生の実績などを訴え、衆参の国政選挙で勝利を積み重ねてきた。四分五裂した野党の弱体化にも助けられ、今や衆参両院で自民党が単独過半数を占める安定政権である。

 その最大の立役者が安倍氏であることは間違いない。

 他方で「1強政治」の弊害も指摘されて久しい。「数の力」に頼って採決強行を繰り返す国会運営はその象徴だろう。

 首相官邸が政策決定の主導権を握り、与党としての自民党の活力低下を嘆く声も根強い。

 今回の総裁選で有力候補の一人と目された岸田文雄政調会長が出馬を断念し、安倍首相の3選支持を表明したことも「寄らば大樹」の考え方が幅を利かす昨今の党内事情を印象付けた。

 これに対し、石破氏は立候補表明の記者会見で「正直で公正、謙虚で丁寧な政治を目指す」「政治への国民の信頼を取り戻す」などと語った。

 「安倍1強」に挑む挑戦者として、森友・加計(かけ)学園問題など一連の疑惑や不祥事を巡る現政権の対応などを念頭に、安倍首相の政治姿勢を真っ向から問う構えといえよう。

 石破氏は「政治・行政の信頼回復100日プラン」と銘打って、党風刷新、官邸の信頼回復、国会運営の改善などを掲げた。スローガン倒れとならないよう、具体的な実現の道筋を早急に示してもらいたい。

 アベノミクスの評価と経済政策、9条を中心とする憲法改正、持続可能な社会保障政策、少子高齢化への対応、原発再稼働とエネルギー政策、外交・安全保障など、政策論争のテーマには事欠かないはずだ。

 できる限り対立軸を鮮明にして、国民にも分かりやすい論戦を展開してほしい。

=2018/08/11付 西日本新聞朝刊=

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