平和条約40年 日中互恵の原点に戻って

 日本と中国が平和友好条約に調印して、12日で40年になる。

 日中両国は1972年、日中共同声明を発して国交を正常化した。この声明を踏まえ、78年8月に両国外相が調印したのが日中平和友好条約だ。条約は両国が「恒久的な平和友好関係を発展させる」とうたっている。

 この条約に基づけば、日中関係は問題なく深化し、最も親しい隣国になっているはずだが、現実にはそうなっていない。

 経済の相互依存が強まる一方で、政治や国民感情レベルでは悪化や停滞の時期を繰り返し、日中関係を緊張させている。

 特に沖縄県尖閣諸島を巡って両国は厳しく対立し、2012年には中国で大規模な反日デモが起きた。歴史認識の食い違いも克服できておらず、時折外交問題として噴出する。

 この難しい関係の背景にあるのは、この40年における中国の国力の伸長だ。中国の経済規模は急速な勢いで拡大し、すでに国内総生産(GDP)で日本を抜いて世界2位になった。同時に軍事力の増強も著しく、2018年の国防費は日本の防衛費の約3・5倍に達している。

 これに伴い、日本側の中国観は「援助、協力すべき隣人」から「警戒が必要な競争相手」「脅威」へと変化した。一方中国側も「日本は中国の発展を阻害しようとしているのではないか」と疑念を膨らませている。

 確かに、中国の不透明な軍備拡張はアジアの不安定要因だ。中国は過剰な軍拡を抑制するとともに、軍事費の内容と意図を透明化して、周辺国の懸念を晴らすべきである。

 ただ、日本側の意識も、中国を警戒するあまり「中国の発展は日本の損失」と思い込むようになってはいないか。この考え方が短絡的過ぎることは、豊かになった中国人観光客の購買力が日本経済を潤している現象一つとってみても明らかだ。

 日中関係を「ゼロサム(一方が得すればもう一方が損をする)」ではなく、双方が得する「ウィンウィン」を実感できるようコントロールすべきだ。

 そのためには双方とも、40年前に結んだ平和友好条約の精神に立ち戻るべきではないか。条約には「紛争の平和的手段による解決」や「覇権を求めない」と明記されている。この原則を繰り返し両政府で確認したい。

 このところ日中関係は改善基調にあり、安倍晋三首相と習近平国家主席の相互訪問の日程調整が進んでいる。中国が強硬な大国外交から国際協調路線への転換を図っているとの観測もある。この機を生かし、両国の首脳が率直に議論して、「互恵」を土台にした両国関係の将来像を描いてほしい。

=2018/08/12付 西日本新聞朝刊=

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