長崎地銀統合 使命は地域経済活性化だ

 暗礁に乗り上げていた九州の地銀の経営統合が、来年4月に実現する見通しになった。

 長崎県の親和銀行(佐世保市)を傘下に持つ「ふくおかフィナンシャルグループ」(FFG、福岡市)と、同県最大手の十八銀行(長崎市)の経営統合計画を審査していた公正取引委員会が、統合を承認した。

 統合で圧倒的な県内貸出金シェアを占めることになると問題視され、両者が融資先に借り換えを打診。債権譲渡額が計1千億円近くに上ったことで、公取委も「競争環境が保たれる」と判断した。

 公取委の使命は、公正で自由な競争により消費者の選択余地を確保し、その利益を守ることだ。万全を期すのは当然だが、承認まで2年余はいくらなんでも長過ぎる。また債権譲渡という窮余の策が地域経済にどんな影響を与えるかも、未知数だ。

 地域の人口減などで今後、地銀再編の動きは継続しよう。この先、地銀の統合審査では独占禁止法の新たな運用指針も検討すべきではないか。地域経済活性化を視野に入れた統合可否基準の事前提示も必要と考える。

 FFGと十八銀は2016年2月、経営統合に基本合意した。ただ、統合すれば長崎県内の企業向け融資シェアは7割に達し、有力な競争相手もいなくなる。公取委は貸出金利引き上げなどで融資先が不利益を被りかねないと懸念し、対策を講じるよう伝達、両者は17年7月に統合計画を無期延期していた。

 事態を打開できたのは、それぞれの貸出債権をライバルである近隣地銀や信用金庫などへ譲渡する話をまとめたからだ。

 さらに、金利上昇やサービス低下が起きないよう監視する第三者機関の設置も打ち出した。

 審査が長期化したのは、先例がなく、両者が公取委の承認基準を手探りした側面もあろう。

 今、地銀の苦境は鮮明だ。18年3月期決算では上場地銀の6割が、マイナス金利政策による利ざやの縮小や人口減などで最終減益となった。

 長崎県では事業所数や生産年齢人口の減少ペースは全国を上回り、親和と十八の統合合併は生き残りの有力な選択肢だ。

 地銀の使命は、地域経済の活性化と金融サービスの維持向上だ。統合で経営体質を強化し、生み出した余力で地域の顧客サービスの向上、地域企業の育成や支援に尽くしてほしい。

 政府も「未来投資会議」で、地域企業に対する競争政策の見直しを議論するという。地方経済の縮小が進む中、地域に不可欠なサービス確保のため、金融機関やバス会社などの企業結合に、ルールと地域活性化、双方の視点からの議論を求めたい。

=2018/08/25付 西日本新聞朝刊=

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