北朝鮮の非核化 停滞した交渉再び動かせ

 歴史的な米朝首脳会談から、きょう12日で3カ月となるが、北朝鮮の非核化を巡るその後の米朝交渉は停滞している。

 8月末には、米国のポンペオ国務長官がいったん訪朝を発表しながら、直後にトランプ大統領が長官の訪朝を中止させるという異例の事態が発生した。

 トランプ氏は「朝鮮半島の非核化に十分な進展が見られない」と中止の理由を説明した。これまでトランプ氏は交渉の先行きを楽観視してきたが、停滞ぶりを自ら認めた格好だ。

 ただ、交渉の難航はある程度予想されていた。6月の首脳会談でトランプ氏と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が「非核化」の定義や道筋について十分に確認せず、曖昧なまま「合意」だけを先行させたからだ。その付けが今、表面化している。

 現在の最大の食い違いは、非核化への次のステップとして「どちらが何をするか」である。北朝鮮は「緊張緩和と平和体制構築に向けた最初の措置」として、朝鮮戦争の終戦宣言を先行させるよう主張する。一方、米国は、北朝鮮の核関連施設の完全な申告などを求めている。

 ただ、北朝鮮も米朝合意の否定に踏み込むつもりはなさそうだ。9日に平壌で行われた北朝鮮の建国70年記念行事では、軍事パレードに大陸間弾道ミサイル(ICBM)を登場させず、米国を刺激するのを避けた。

 そうした中、南北交渉が再び動き始めた。文在寅(ムンジェイン)韓国大統領が18~20日に訪朝し、金正恩氏と3度目の会談を行う予定だ。

 金氏はトランプ氏にも親書を送り、2度目の米朝会談を呼び掛けた。米国側も前向きで、年内にも実現する可能性がある。金氏は韓国の特使団に対し「トランプ大統領の1期目の任期が終わる2021年1月までに非核化を実現したい」と伝えたとされる。

 6月の米朝会談も、先に金氏と会談した文氏が米国との関係を取り持って実現した。停滞を打破するために、韓国が仲介役として交渉を再び動かすのは効果的だと言える。

 気になるのは、トランプ氏が最近、「非核化交渉の停滞の責任は中国にある」と中国批判を展開し始めたことだ。

 激化する米中貿易戦争で中国に攻勢を掛ける狙いとみられるが、北朝鮮非核化を貿易交渉のカードに使うつもりだとすれば、問題が複雑化するだけで、百害あって一利なしである。

 そもそも、北朝鮮との交渉が簡単に進むはずがない。必要ならば2度目の米朝会談をやって、今度こそ非核化の中身と行程表をきちんと詰めるべきだ。交渉が停滞している時こそ、粘り強さが求められる。

=2018/09/12付 西日本新聞朝刊=

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