米中間選挙 「反トランプ」受け止めよ

 米国民は「トランプ流政治」に厳しい審判を下した。

 米中間選挙が投開票され、トランプ大統領と対立する野党の民主党が8年ぶりに下院で過半数を奪回した。

 上院では与党の共和党が過半数を維持したが、共和党の非改選議席が多かったためであり、有権者の民意は全議席改選の下院に反映されたと言える。

 もともと米中間選挙は、大統領の野党が勝利することが多い。有権者が一定のバランス感覚を働かせるためとされる。

 ただ、共和党にも有利な要因があった。中米から移民集団が米国に向かう中、トランプ氏の対移民強硬策が支持を広げていた。経済も好調だ。こうした共和党への追い風も予想された状況で、民主党が勝利した政治的インパクトはやはり大きい。

 個別の政策の是非を超えて、強引な政権運営で米国社会に分断を広げるトランプ氏の政治手法そのものに、多くの国民が拒否感を抱いた結果だと言えよう。有権者に広がる「反トランプ」の潮流が鮮明になった。

 移民や社会的少数派への差別的言動を繰り返して大統領選に勝ったトランプ氏は、就任後は大統領らしく国民の和解と統合に努めるのではと期待された。

 しかし現実には、トランプ氏は自分に不利な事実を認めず、口を開けば対抗する人々を攻撃するばかりだ。国際協調を軽視する外交姿勢には国際社会からも不安の声が上がっている。

 憎悪を扇動するトランプ氏のポピュリズム(大衆迎合主義)により、民主、共和両党の支持者間ではまともな論争もできないほど対立がエスカレートしている。国民が二分化されては、米国が維持してきた世界への良き影響力が損なわれる。

 トランプ氏は下院敗北を機に批判を誠実に受け止め、言動を改めて、まず国民の分断の修復に取り組むべきではないか。

 しかし、トランプ氏の性格を考えれば、そうなる可能性は低い。上下両院のねじれで「国境の壁」建設などトランプ氏の政策の一部は実現困難となる。トランプ氏は民主党を一層攻撃することで支持層を固め、次期大統領選での再選を図るだろう。

 一方、民主党は、トランプ氏のロシア疑惑を巡る弾劾手続きを模索して巻き返しにかかる。米国の政治と社会は、さらに厳しい分断にさらされる。憂慮すべき事態である。

 内政の停滞が予想されるトランプ氏が、外交で得点を稼ごうと、一段と自国第一主義的な対外政策に走る恐れもある。

 日本を含む国際社会は、トランプ氏に協調を促すとともに、米国の分断と変質を見据えた対米外交が求められる。

=2018/11/08付 西日本新聞朝刊=

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