いじめ41万件 積極認知進め深刻化防げ

 全国の小中高校と特別支援学校で2017年度に認知されたいじめ件数が、過去最多の41万4378件を記録した。前年度から3割以上も増えた。

 文部科学省によると、いじめの初期段階を積極的に認知する姿勢が教育現場に根付いてきたという。評価すべき傾向だが、軽重はあれど、41万もの児童生徒が悩み苦しんでいる現実を重く受け止め、いじめの防止と解消に力を入れる必要がある。

 都道府県別の児童生徒千人当たりの認知件数は、最多の宮崎108・2件に対し、最少の佐賀は8・4件と約13倍も開きがある。この格差は前年度より縮まってはいるが、依然として看過できない地域差と言えよう。

 宮崎に限って、いじめが多発しているわけではあるまい。認知件数の格差の一因は、いじめに対する教育現場の認識の違いにもあろう。例えば、教職員やスクールカウンセラーがいじめを発見した割合は、宮崎は全国平均を大きく上回っている。

 宮崎県教委は「子どもが対人関係で嫌な思いをすれば、いじめとして対応する姿勢が定着してきた」と語る。自治体間の教職員交流などを通じ、こうした認識を九州全域に広げたい。

 一方、認知件数ゼロの学校は全体の4分の1もある。文科省はこうした地域差の原因や背景を詳細に調査し、格差縮小に取り組むべきだろう。

 「冷やかしやからかい」も積極的に認知する機運が高まっているにもかかわらず、身体や財産に大きな被害が生じる「重大事態」は474件で前年度より78件増えた。残念ながら積極認知の広がりが、いじめの深刻化の歯止めにつながっていない。

 ささいな行為をいじめと認知することで現場が多忙化し、アフターケアに手が回らなくなっているとの指摘もある。だが、深刻ないじめも悪口のような小さな行為が発端となるケースが多い。兆候を早期にとらえる努力を怠るわけにはいかない。

 無論、教員の多忙の原因は、いじめ対応に限らない。文科省の16年度教員勤務実態調査によると、小学校教員で約3割、中学校教員で約6割の残業時間が「過労死ライン」(月平均80時間)を上回っていた。教職員の働き方改革を進め、児童生徒一人一人とじっくり向き合える余裕を生み出す必要がある。

 教委や児童相談所、PTAなどが連携する「いじめ問題対策連絡協議会」を設置する市町村が増えているが、実効性に欠けるとの指摘もある。活動の内実を検証するとともに、子どもと接する民間団体や自治会などとの協働を進め、いじめ撲滅の機運を学校から地域へと広げることも肝要である。

=2018/11/26付 西日本新聞朝刊=

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