正念場の野党 「もう一つの選択肢」示せ

 「1強」の安倍晋三政権にどう挑むか。「多弱」の野党にとって今年は正念場だ。春に4年に1度の統一地方選が行われ、夏には3年ごとに半数を改選する参院選が控えている。

 安倍首相は「頭の片隅にもない」と再三否定しているが、参院選に合わせて衆院を解散する衆参同日選の臆測も絶えない。

 一連の政治決戦は長期政権の是非を問う機会になる一方、野党の存在意義が厳しく問われる試練でもある。「多弱」の返上を目指すなら、野党にその自覚と決意を改めて問いたい。

 4月の統一地方選は、地域の将来と自治の在り方を問い直す大型選挙だ。福岡、大分など10道県知事選と九州7県を含む41道府県議選、市町村の首長・議員選などが行われ、各政党の消長を占うバロメーターとなる。

 立憲民主党や国民民主党など結党から間もない野党にとっては、政党の足腰となる地方組織を整え、地方議員を育てる契機とも位置付けられる。少子高齢化や人口減少に悩む「地方の声」を吸い上げ、国政へつなげる政策や熱意も問われよう。

 夏の参院選は安倍首相の政治姿勢や政権運営に有権者が審判を下す。憲法改正や消費税増税などが争点になるとみられる。

 勝敗の帰趨(きすう)を決めるのは32ある改選1人区だ。野党各党が独自に候補を擁立して戦えば、政権批判票が分散して自民党が有利となるのは自明の理である。過去の参院選でも実証済みだ。

 そこで野党候補の一本化が焦点となるが、現段階で具体化しているのは熊本や大分など数選挙区にとどまっている。

 野党第1党の立憲民主党が統一候補の擁立を1人区に絞り込んでいるのに対し、もっと幅広い選挙協力を求める国民民主党など他の野党との調整が進んでいないからだ。背景に安倍政権との対決路線を突き進む立民と、提案型を模索する国民との路線対立を指摘する声もある。

 しかし、野党同士でいがみあっている場合ではあるまい。根深い野党の対立と分裂が自民党を利し、結果的に「1強の長期政権」を生んだ現実を直視すべきだ。野党各党には小異を捨てて大同につく努力を求めたい。とりわけ、衆参両院で野党第1党となった立民は束ね役としての責務を果たしてほしい。

 本社加盟の日本世論調査会が昨年12月に実施した調査によると、参院選の結果は「与野党勢力が伯仲する方がよい」が53%を占め、「与党が引き続き過半数」の30%を上回った。世論が野党の奮起を促すのは、議会制民主主義が健全な野党の存在を前提とするからだ。野党は結束して「もう一つの選択肢」を有権者に提示すべきである。

=2019/01/11付 西日本新聞朝刊=

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