沖縄県民投票 地方から国策を問う意義

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、埋め立ての賛否を問う沖縄県民投票が14日、告示された。投開票は24日だ。

 沖縄県ではこれまでにも、国政選挙や知事選で普天間飛行場の辺野古移設が争点となり、昨年9月の知事選では「辺野古への基地建設反対」を訴えた玉城(たまき)デニー氏が圧勝した。

 しかし、安倍晋三政権は辺野古移設反対の民意を顧みず、移設工事を着々と進めている。昨年末には、辺野古沿岸部への土砂投入に踏み切った。

 県民投票を推し進める市民団体などは「辺野古移設の是非」に絞った住民投票で「辺野古ノー」の民意を確定させることで、基地建設阻止への契機にしようと意図している。

 投票は辺野古の埋め立てに「賛成」「反対」「どちらでもない」の3択で行われる。県条例では、最も多い選択肢が投票資格者の4分の1に達した場合、知事はその結果を尊重し、首相と米国の大統領に結果を通知するよう定めている。例えば、投票率が50%で「反対」が過半数なら、知事が政権と米国に「反対」を通知することになる。

 沖縄での各種の選挙結果から推測すれば、県民投票では「反対」が多数となる可能性が高い。しかし、投票の結果に法的拘束力はない。このため、政府はどのような結果が出ても移設を進める姿勢を示している。

 基地の配置など安全保障政策は本来、国の仕事である。それを理由に、基地問題を自治体単位で行われる住民投票のテーマにすべきでないとの論もある。

 しかし「なぜ沖縄県民が県民投票を望むのか」という出発点に立ち返って考えたい。

 沖縄で県民投票が実施されるのは2度目である。前回(1996年)も米軍基地が争点で、約9割が基地の整理縮小を求めた。それから20年以上たつが、沖縄の過重な基地負担はほとんど軽減されていない。

 国策と「地元の民意」の間に大きな溝があるにもかかわらず、国が溝を埋める努力を怠り、国策を力ずくで押し通そうとしている。その時、地方はどのようにして国に民意を尊重させればいいのか。その答えの一つが住民投票なのだ。

 今回の県民投票を、地方から国策を問う大事な機会だと意義付けたい。「地方と国策」のテーマは基地問題にとどまらない普遍性を持っている。

 本土の住民も、日米同盟の抑止力を理由に沖縄に過重な基地負担を押し付けている「国策」の現状を、同じ地方の住民として捉え直すべきだ。沖縄だけの話と思わず、本土からも県民投票の論戦と結果を注視したい。

=2019/02/16付 西日本新聞朝刊=

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