続く火山噴火 共存へ脅威と恩恵学ぼう

 火山の特性に応じた噴火対策づくりが各地で進んでいる。

 鹿児島市は先月、桜島の島内だけでなく、対岸の市街地の住民にも避難情報を出す基準を明確にする方針を示した。

 昨年暮れから今年にかけては、インドネシアの火山島アナック・クラカタウや鹿児島県・口永良部(くちのえらぶ)島の新岳が噴火した。いつ噴火するか分からないのが火山-常にそんな警鐘を鳴らしていると受け止め、備えたい。

 クラカタウの噴火は大津波を引き起こした。津波は地震に伴うと考えられがちだが、地震は今回観測されなかった。住民は不意を突かれ被害が拡大した。噴火で山体が崩壊して海に押し寄せたか、海底地滑りが起きたのではないかとみられている。

 山体崩壊による大津波は1792年、長崎・島原半島の普賢岳噴火後に近くの眉山が崩れ、対岸の熊本側にも被害が及んだ「島原大変肥後迷惑」が知られる。大津波の脅威は東日本大震災でまざまざと見せつけられた。火山活動との関連でも起き得ると改めて確認したい。

 世界には約1500の活火山があり、うち日本の数は111に上る。まさに火山列島だ。九州には17ある。私たちは、地球の絶え間ない活動で生まれたそんな大地の上で暮らしている。

 火山は美しい景観、伏流水、温泉資源など恵みももたらす。脅威と恩恵を正しく学び、共存する姿勢こそ求められている。

 作家の深田久弥はかつて、品格、歴史、個性を兼ね備えた山を選んで随筆「日本百名山」に記した。富士山や日本アルプスの山々のほか、九州からは九重山、阿蘇山、霧島山、開聞岳の4火山などが名を連ねた。

 戦後何度目かの登山ブームとされる中、愛好者に大きな衝撃を与えたのは2014年の御嶽山(おんたけさん)(長野、岐阜県境)の噴火である。登山客ら死傷者・行方不明者は130人余に上った。

 御嶽山は百名山にも選ばれている活火山だが、噴火記録は乏しかった。地元では新たに、噴火警戒レベルが最低の段階でも自治体が入山規制するなどのルール作りを進めている。

 改めて、噴火予知は現在の知見では困難だと肝に銘じるべきだ。御嶽山でも噴火の十数日前から火山性地震が増えていたが前兆とは判断されなかった。

 口永良部島では15年の新岳噴火の際、全島民が海路で避難した。この年末年始の噴火時は島内で難を逃れた。火山との共存を前提とした高い防災意識と、日ごろの訓練が生きた。

 もとより、麓で暮らす住民と火口に近づく登山者とではリスク管理の在り方が異なる。平時から地道に情報収集を積み重ね冷静にリスクに向き合いたい。

=2019/02/18付 西日本新聞朝刊=

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