同性婚一斉訴訟 多様な家族認める社会へ

 国が同性婚を認めないのは、憲法が保障する婚姻の自由を侵害し、法の下の平等にも反しているとして、全国13組の同性カップルが国家賠償請求訴訟を起こした。同性婚の合憲性を問う初の訴訟である。

 自治体が性的少数者(LGBT)のカップルを公的に認証するパートナーシップ制度が徐々に広がり、九州では福岡市に続き、熊本市や長崎市などが導入を検討している。性的少数者のカップルに対し、自治体が関係性を認め、地域社会の理解を促す制度の意義は大きい。とはいえ、法的に保護はされない。

 現状では、同性カップルはさまざまな不利益を被っていると原告側は訴えている。例えば、同性カップルは互いに法定相続人になれず、税制上の配偶者控除も受けられない。パートナーの子どもを一緒に育てようとしても、共同親権を持つこともできない。いずれも、異性の夫婦には認められている。特別な権利を求めているわけではない。

 パートナーシップ制度の広がりが示すように、性的少数者に対する社会の認識は、急速に変化している。海外では21世紀に入り、同性婚を認める国が相次ぎ、その数は欧米など20カ国以上に及んでいる。もはや国際的潮流と言えよう。

 憲法24条は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」すると規定している。政府は2018年に閣議決定した答弁書で、この条文は同性婚を想定していないとの見解を示している。ただし、この条文は「婚姻の自由」を保障することに主眼があり、同性の婚姻を排除しない、とみる識者は少なくない。

 憲法制定時の時代背景を踏まえれば、24条の趣旨は、親の意向が結婚に影響した戦前の家制度から、男女平等と自由意思の尊重に基づく制度への転換にあると考えるべきである。

 憲法を変えずとも、法整備によって同性婚を認めることは検討に値するのではないか。

 同性婚に違和感や反感を抱く人もいるだろう。だが生物学的な性と、自分の性をどう認識するか(性自認)、どの性の人を好きになるか(性的指向)は別問題で、それは人によって異なる。少数派というだけで同性カップルの権利が制限される現状は、是正する必要がある。

 九州出身の原告男性は、サングラスを掛けて記者会見に臨んだ。「九州に住む家族が差別を受けるかもしれない」と不安を語った。残念ながら、無用の心配と言い切ることはできない。

 まずは、性の多様性に対する理解を広げ、偏見をなくすことが必要だ。多様な家族の在り方を認める社会に向け、国民的議論を深める契機としたい。

=2019/02/22付 西日本新聞朝刊=

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