3・11と九州 必ず来る「次」への備えを

 美しい海が表情を一変させ、大津波となって人々に襲いかかる。8年前に発生した東日本大震災は、大自然の桁違いの力をまざまざと見せつけた。

 福島の原発事故被災地はもちろん、岩手、宮城を含めた沿岸部の津波被災地も、今なお懸命の復旧・復興の途上にある。

 地震や津波による被害は有史以前から繰り返されてきた。初めて見聞する出来事ではなく、伝承されてきたはずの災害である。それでも長い年月とともに人々の記憶は薄れてしまう。

 九州は、この8年に限っても熊本地震と、北部を中心にした2度の豪雨災害を経験した。阿蘇や霧島、桜島などの火山も噴火災害の懸念は続いている。

 とりわけ昨年は災害が多かった。1年間に起きた主な災害の数や規模を、よどみなく言える人はどれくらいいるだろう。6月の大阪府北部地震、7月の西日本豪雨、9月の北海道地震に加え、台風のほか「災害級」とされた猛暑にも見舞われた。

 災害を忘れることも怖いが、慣れることも恐れたい。

 今年1月3日には、熊本県和水(なごみ)町で最大震度6弱を観測する地震が起き、九州一円の大地を揺らした。揺れが比較的小さかった地域を中心に、「また一連の余震だろう」という油断に終わっていないか。この地震は、熊本地震とは別の未知の断層が動いたとの見方もある。

 風水害の増加は地球温暖化との関連がしばしば指摘される。一方で、地震や津波、火山噴火は未解明のことが多い。こうであるはずだという思い込みは慎みたい。熊本では「地震は起きない」と思い込まれていた。

 その意味で、政府の地震調査委員会が先月発表したデータは警鐘を鳴らす内容だった。

 宮城県沖で、30年以内にマグニチュード(M)7~7・5程度の地震が起きる確率は90%程度だという。調査委は「東日本大震災があったので、しばらく大きな地震は起きないとは考えないでほしい」と呼び掛けた。M9だった東日本大震災とは違う仕組みで起きるためという。

 近い将来に起きるとみられている南海トラフ巨大地震は、九州にとっても「3・11」級の脅威である。30年以内の発生確率は70~80%程度と極めて高い。最大でM9・1、最大震度7が予測される。津波は大分県佐伯市や宮崎県串間市で十数メートルの高さに達するという。

 地震や津波は、いつどこで起きても不思議ではない。火山の噴火も、登山者の命を奪うような水蒸気爆発は噴火警戒レベル1であっても起こり得る。

 「次」は必ず来ると肝に銘じて、経験と教訓を生かし、「その時」に備えたい。

=2019/03/10付 西日本新聞朝刊=

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