学校とスマホ 持ち込みルールが必要だ

 小中学校で新学期が始まった。多くの子どもが所持している携帯電話やスマートフォンの学校への持ち込みを認めるかどうか。文部科学省が「原則禁止」として2009年に出した通知の見直し作業に乗り出した。

 放課後を学童保育や塾で過ごす子どもは多く、親子の連絡用にスマホなどを常用する家庭は珍しくない。衛星利用測位システム(GPS)を組み込んだ製品も増え、災害への備えや防犯上の理由から子どもに持たせる親もいる。

 内閣府の17年度調査では、携帯電話などを持つ子どもの割合は、小学生で5割超、中学生で6割超に上る。学校にも持ち込み、かばんに入れている子どもがいることは想像に難くない。

 大阪府が今春、使用を登下校中の防災・防犯目的に限るといった条件で、持ち込みを容認する指針を示した。普及の現状を踏まえれば、条件付きで認めようという機運が生まれるのは自然な流れではあろう。

 とはいえ、さまざまなトラブルが予測される。ルールが必要なことは言うまでもない。

 ただでさえ、スマホでよく利用されているインターネットの会員制交流サイト(SNS)を介し、犯罪に巻き込まれる事案が後を絶たない。仮に校内で更衣中のクラスメートを撮影した画像や動画が流出すれば取り返しがつかない事態になる。機器を所持していない子どもが仲間はずれになるなど、不利益を被る懸念も捨てきれない。

 持ち込んでも校内では使わせないと決めるやり方はあるだろう。ただ、休み時間中に使用していないかまで教員がチェックするのは現実的と言えまい。下校時までの機器の保管・管理をどうするかも課題になる。紛失や破損といったリスクの管理を子ども個人に任せてよいのか。学校側で預かるとすれば、今でも多忙な現場に、新たな負担や責任を求めることにもなる。

 文科省は今後、どの程度まで容認するかを検討するという。条件付き容認に踏み切る大阪府の実態の検証も踏まえて、丁寧に議論を重ね、持ち込みのガイドラインを示すべきだ。

 ルール作りと併せて大切なのは、子どもが賢く安全にネットを使う力をかん養することだ。夢中になるあまり、日常生活に支障を来す子どもが増えている。厚生労働省の研究班は、ネット依存の疑いのある中高生は約93万人に上ると推計している。

 ネットの利用には大きなメリットがある半面、落とし穴も多い。国の通知見直しを機に、学校で、子どもたち自身がネットやスマホの利用ルールを議論する場を設けてほしい。格好のリテラシー教育となるはずだ。

=2019/04/14付 西日本新聞朝刊=

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