九州一の繁華街、福岡市・天神のビル街の中にあって、そこだけは閑静なたたずまいを見せる…

 九州一の繁華街、福岡市・天神のビル街の中にあって、そこだけは閑静なたたずまいを見せる。菅原道真を祭った水鏡天満宮だ

▼都から大宰府に左遷され博多に到着した道真は水面(みなも)に映した自分の姿を見て嘆き悲しんだ。心労でやつれ果てていたからだ。その地に道真をしのぶ社殿が建てられ「水鏡天神」と呼ばれた。後に藩主黒田長政が「水鏡天満宮」として現地に移し、これが「天神」の地名の由来になったとされる

▼その神社のすぐ近くで白昼起きた大胆不敵な事件に、天神さまもさぞ嘆いておられよう。会社員の男性が銀行から引き出した現金3億8400万円を強奪された

▼わらべ歌ではないが、現金を奪った3人組は「天神さまの細道」を車で逃走した。猛スピードで信号無視を繰り返し、人と車で混み合う都心で傍若無人な「通りゃんせ」。大勢の歩行者がいた交差点にも赤信号で突っ込んだという。けが人がなかったのが不思議なくらいだ

▼それにしても謎が多い事件だ。多額の現金をなぜ1人で運んでいたのか。犯人グループはその情報をどうやって知ったのか。同じ日の夜、韓国籍の男らが福岡空港から数億円の現金を国外に持ち出そうとしていたことが分かり、事態は一層ややこしくなった

▼福岡中央署の鼻先をかすめ、まんまと逃走した強盗犯である。「行きはよいよい」でも「帰りはこわい」にせねば。警察は面目にかけて事件解決を。


=2017/04/22付 西日本新聞朝刊=

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