フォーク歌手加川良さんが先月亡くなった…

 フォーク歌手加川良さんが先月亡くなった。内閣官房長官が戦前の「教育勅語」の教材使用を「否定せず」と報じられた波紋が広がる中での訃報だったことが、加川さんの曲を思い出させた

▼1970年に自分で作って歌った「教訓1」という曲。〈命はひとつ 人生は1回 だから命をすてないようにネ あわてるとついフラフラと 御国のためなのと言われるとネ〉

▼「父母に孝行を」「兄弟姉妹仲良く」などと書かれた教育勅語には、こんなことも。「万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい、一身を捧(ささ)げて皇室国家のためにつくせ」

▼ベトナム戦争のころ歌い始めた「教訓1」を、加川さんはずっと歌い続けた。3年前に本紙インタビュー欄「Get」でこう話していた。「今も歌ってますよ。歌うたびに新曲だと思えるんです。今は『集団的自衛権』というタイトルで歌ってます。歌詞は何も変えてません」

▼変えずに歌える状況が次々に現れる。政治によってつくられていく。本紙に次のようにも話していた。「今、ヤバいなと思うのは、戦争に行ったことがない、戦争を知らない人たちが政治を動かしている。僕らの小さいころは、知ってる人がたくさんいて、行った人は皆、戦争は絶対やったらいかん、と…」

▼「教訓1」は言う。お国のためとかいわれたら〈青くなって しりごみなさい にげなさい かくれなさい〉


=2017/05/14付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]