ドイツの人文学者ヴィルヘルム・フンボルトはあさってが生誕250年…

 ドイツの人文学者ヴィルヘルム・フンボルトはあさってが生誕250年。フンボルト(現ベルリン)大学を創設し、ゲーテやシラーとも親交があった

▼フンボルトはペンギンの名にも。こちらは弟の博物学者アレクサンダーにちなむ。弟が調査した南米ペルー沖の海流は「フンボルト海流」と名付けられ、辺りにすむペンギンも「フンボルトペンギン」に

▼話を戻す。兄フンボルトは「国家活動の限界を決定するための試論」で次のように述べた。「国家は犯罪が行われる前に、犯罪を防止するためにどこまでのことが許されるか、あるいはすることが義務であるかが問題である。直接の実行行為を妨げる以外は、許されない」

▼フンボルトの自由、人道主義的な主張は、ビスマルク率いるドイツ帝国やヒトラーのナチス政権に冷遇されたという。一方、個人が自由に幸福を追求できる社会を目指した英哲学者ミルの思想に大きな影響を与えた

▼さて、政府、与党が強引に成立させた「共謀罪」法である。犯罪摘発の原則である「既遂」どころか、「未遂」よりもさらに前の「準備行為」で取り締まれるようになる。フンボルトが指摘した「国家活動の限界」には十分な説明がないままだ

▼フンボルトペンギンは開発や気候変動で生息場所が狭められ絶滅危惧種に。新法を根拠に自由や人権を狭めようという潮流には断固あらがわねば。絶滅危惧種にしないために。


=2017/06/20付 西日本新聞朝刊=

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