「8・12」が来ると思い出す…

 「8・12」が来ると思い出す。墜落していく日航ジャンボ機内で「きっと助かるまい原因はわからない」「今迄(いままで)は幸せな人生だった」と書かれた乗客の遺書。その娘さんが事故から20年後に「8・12連絡会」編の文集「茜(あかね)雲」に寄せた一文がずっと頭の隅にあった

▼修理ミスによる圧力隔壁破壊が原因ではないかもしれない、とつづられていた。日航の機長をしている高校の同窓生から「社内の多くの人の調査で分かったことがあるといわれた」という。「尾翼に自衛隊機が…」

▼墜落原因は隔壁破壊以外にある、とする説は種々いわれてきた。大きく報じられることはなかった。「茜雲」のあのくだりを思い出させる本が先月出版された

▼「日航123便墜落の新事実」(青山透子著、河出書房新社)。元日航客室乗務員の青山さんが、墜落現場の群馬県上野村の小中学生が学校の文集に残した目撃証言などをたどって書いた。読んでいくうち、それまで漠としていた自衛隊機の影が、別の角度からも大きく見えてくる

▼米軍情報も含めて墜落現場はすぐに分かったはずだが一晩、不明とされたのはなぜか-などの謎にも触れられている。遺族、国民が知らされていない大きな何かがあるのだろうか

▼何が起きたか分からないまま520人が命を絶たれて32年。単独機では世界最大の航空機事故には謎が多い。この本の帯には「三十三回忌に検証する」とある。


=2017/08/12付 西日本新聞朝刊=

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