城への食糧補給路を断って敵を弱らせる「兵糧攻め」…

 城への食糧補給路を断って敵を弱らせる「兵糧攻め」。時間はかかるが、直接戦わないので、攻める側は被害を最小限に抑えられる。飢えに苦しむ方はたまったものではないが

▼豊臣秀吉は兵糧攻めを好んだことで知られる。備中高松城(岡山市)包囲戦では、堤防を築いて川の水を城の周囲に引き込んで城を水没させた。城側は予想外の「水攻め」に動揺し、兵糧も欠乏。城主は、自分の命と引き換えに城兵を助命することを条件に降伏した

▼主君に倣ったのが石田三成だ。忍(おし)城(埼玉県行田市)を攻めあぐんだ三成は、長大な堤防を築いて水攻めにした。だが、折からの大雨で堤防が決壊。逆に三成側の兵が濁流に流されて失敗に終わった

▼兵糧攻めを成功させるには、堅固な包囲網が欠かせまい。今回の決定は「水も漏らさず」といえようか。北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議である。北朝鮮への原油・石油精製品の輸出を現状より約3割削減するという

▼経済活動に欠かせないエネルギーの供給を絞る“兵糧攻め”。市民生活にも影響が出よう。米国は当初、全面禁輸を求めていたが、中国、ロシアに譲歩し、安保理の全会一致を優先した

▼直接戦わず圧力をかけるにはこれしかないが、堤防はかなり低くなった。どれほど効果があるか。城兵を案じて和議に応じた城主のように、民の苦難を顧みて対話に応じる“殿様”であればよいのだが。


=2017/09/13付 西日本新聞朝刊=

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