都市国家が互いに争った古代ギリシャ…

 都市国家が互いに争った古代ギリシャ。4年ごとに開かれるオリンピアの祭典の時だけは武器を置いた。「聖なる停戦」とも呼ばれる「オリンピック停戦」だ

▼期間中、各地から訪れる選手や観客は安全が約束され、都市国家間で対話や親睦を深める機会になった。この精神を受け継いだ現代のオリンピックが「平和の祭典」とされるゆえんだ

▼平昌冬季五輪がきょう開幕する。核・ミサイル開発で孤立する北朝鮮も参加した。女子アイスホッケーでは韓国と異例の合同チームを結成。派手な応援団や芸術団を送り込み、金正恩氏の信頼が厚い実妹まで派遣するという

▼北朝鮮がかたくなな態度を軟化させ、平和的な対話の機会にしようと考えた“五輪停戦”なら結構なことだ。ただ、韓国との友好ムードを演出する一方で、開幕前日に軍事パレードも。硬軟使い分け日米韓の結束に揺さぶりを掛ける思惑が透ける

▼平昌には、国家ぐるみとされるドーピング問題で、大国ロシアの姿もない。外交の駆け引きや国威発揚の道具として五輪を利用するのは、その精神を踏みにじるものである。政治に振り回される選手こそ気の毒だ

▼それでも、人間の限界に挑む競技そのものの価値や魅力が損なわれることはない。日本選手に、他国の選手にも、惜しみない声援を送りたい。「聖なる停戦」はギリシャ語で「エケケイリア」。「手をつなぐ」という意味があるそうだ。

=2018/02/09付 西日本新聞朝刊=

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