木造家屋が密集する江戸の町は火事が多く、しばしば大火となって甚大な被害をもたらした…

 木造家屋が密集する江戸の町は火事が多く、しばしば大火となって甚大な被害をもたらした。命懸けで町を守る火消しが庶民の人気を集めるのは当然だ

▼大店(おおだな)「伊勢屋」の若旦那も火消しに憧れて家を飛び出し、親に勘当された。ある日、伊勢屋の近くで火の手。蔵に火が入らないよう、番頭が目塗り(練り土で戸などの隙間を埋めること)するが、うまくいかない

▼そこへ、屋根から屋根へと飛び移りながら駆け付けた若者がいた。火消しになった若旦那である。半鐘が鳴ると、いつも店を気に掛けていた。番頭の計らいで両親と対面することに…。落語「火事息子」から

▼江戸の火消しは、今でいうなら消防士や消防団員。普段は本業を持つ消防団員は、江戸町民の自治防災組織、町火消しに当たろうか。戦前は警察組織の一部門だった消防を市町村の管理に移した自治体消防制度はきょう、発足70周年を迎えた

▼その消防団員の不足が深刻という。地方では過疎や少子高齢化の影響もあろう。昭和20年代には全国で200万人いた消防団員が昨年度は85万人に。大災害では道路が寸断され、本格的な救助活動に手間取ることも多い。そんなときこそ、いち早く避難誘導や救助に動ける地域の消防団が頼りになる

▼最近は女性や学生の団員を増やす取り組みも活発に。いつも身近な人を気に掛け、半鐘が鳴れば駆け付けてくれる“若旦那”は地域に欠かせない。

=2018/03/07付 西日本新聞朝刊=

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