公文書は昔から、物事の黒白(こくびゃく)を判じる際の重要な根拠となる…

 公文書は昔から、物事の黒白(こくびゃく)を判じる際の重要な根拠となる。古代日本の基本法「律令(りつりょう)」は、文書の偽造は罪と規定し、流刑などの刑罰を定めた。正倉院に残る古文書には、偽造防止のためにたくさんの印鑑が押してあるそうだ

▼「御恩と奉公」の武家社会になると、手柄の申告や所領を巡る争いが増え、偽文書も横行したのであろう。鎌倉幕府の「御成敗式目」は、文書や印鑑を偽造すれば所領没収や流罪とした。江戸時代にはさらに厳罰化され、首謀者は死罪に処せられることも

▼もちろん、公文書の偽造は現代でも重罪である。公益を担う公務員が不当に公文書を書き換えることがあれば、行政機関の信用は失墜し、法治国家の基盤を揺るがしかねない。決してあってはならない…はずが、中央官庁の、それも財務省で重大な疑惑が浮上した

▼森友学園の国有地取引に関する決裁文書だ。財務省は原本を書き換えたものを国会議員に配布した、と報じられた。事実であれば、国民の代表で、国権の最高機関でもある国会を欺いたことになる。黒白を明らかにするのは当然だ

▼財務省は「原本は地検にある」などとして説明を避けてきた。与党からも批判され、しぶしぶ原本の写しを出したが、開示済みの文書と同じ内容。書き換えの有無には答えなかった

▼いったい何をそれほど隠したいのか。「御恩と奉公」という言葉がよぎるのは筆者だけではあるまい。

=2018/03/09付 西日本新聞朝刊=

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