〈ぼくがはじめて すがわらまこととかいたとき おかあさんのかおが にこにことなりました…

 〈ぼくがはじめて すがわらまこととかいたとき おかあさんのかおが にこにことなりました うれしそうになりました やさしくなりました そしてぼくのすきなはんばーぐを つくってくれました〉すがわらまこと

▼「こっちむいて、おかあさん-こどもがかいたおかあさんの詩2」(吉野弘、新川和江監修)より。自分の名を書けるようになった子の成長を喜ぶ母の笑顔が目に浮かぶ。小学1年の男の子がつづった文字から幸せがこぼれ落ちる

▼この春、1年生になるはずだった女の子の文字は読む者の胸に突き刺さる。痛ましさとけなげさに涙がこぼれる。3月、親に虐待されて亡くなった船戸結愛(ゆあ)ちゃんだ

▼〈きょうよりかあしたはもっとできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします〉。両親は十分な食事を与えず、暴行を加え、衰弱しても病院に連れていかず放置した

▼結愛ちゃんは虐待を主導したとされる父親の実子ではなかった。母親は「自分の立場が危うくなるのを恐れて虐待を見過ごした」と。結愛ちゃんは大学ノートに謝罪文を書きながら「こっちむいて、おかあさん」と願い続けただろうに

▼結愛ちゃんの体重は平均より8キロ少ない12キロだった。〈わたくしのからだで育てし日々もあり 子はビスケットぼろぼろこぼし〉鶴田伊津。子が食べ、育つ。当たり前の親の喜びも忘れてしまったのか。

=2018/06/08付 西日本新聞朝刊=

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