トルコからフランスへ向かう豪華列車が大雪で立ち往生した…

 トルコからフランスへ向かう豪華列車が大雪で立ち往生した。雪に閉ざされた車内で乗客の富豪が遺体で見つかる。英推理作家アガサ・クリスティの代表作「オリエント急行殺人事件」だ

▼偶然、列車に乗り合わせた名探偵が事件解明に乗り出す。犯人は。動機は。謎が深まる。実は、富豪には人に恨まれるある理由があった…

▼停車駅の間隔が長い特急や急行は、いったん発車すれば走る密室に。走行中に車内で何か起きても乗客は閉じ込められ、逃げ場がない。そんな心配が現実になった。新横浜-小田原間を走っていた新幹線の車内。男が刃物で乗客を襲った。男性1人が死亡し、女性2人が軽傷を負った

▼偶然、同じ車両に乗り合わせた被害者に恨まれる理由などあるはずもない。亡くなった男性は女性を助けようとして切られたと聞けば、なおさら痛ましい。男は「むしゃくしゃしてやった。誰でもよかった」と話したという

▼事件の前日には、東京・秋葉原の歩行者天国で17人が死傷した無差別殺傷事件から10年、児童8人が亡くなり、15人が重軽傷を負った大阪教育大付属池田小の乱入事件から17年-と報じられた。理不尽に奪われた命。どれほど時間がたっても、遺族らの悲しみが癒えることはあるまい

▼日常に潜む通り魔的犯罪をどう防げばよいのか。監視カメラや警備を強化しても十分ではなかろう。名探偵にも正解は見つけられない難題だ。

=2018/06/12付 西日本新聞朝刊=

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