英語のバイアスは「先入観」の意味…

 英語のバイアスは「先入観」の意味。心理学で「正常性バイアス」といえば、異変や異常に直面しても「大したことはない」「自分だけは大丈夫」と思い込んでしまうことだ

▼西日本豪雨災害の報道で、この言葉を知った。避難勧告や避難指示が出ても、「大したことはない」と避難せずに命を落とすケースがあったのではないか、との指摘だ

▼確かに「勧告」「指示」と聞いても、危険を身近に感じなければ「これまでも大丈夫だった」「危なくなったら逃げればいい」と考えがち。避難所に身を寄せる不安や大変さを思えば腰も重くなる

▼被害を減らすために緊急性をどう伝えるか。「○○川があふれそう」「すぐに逃げて」などと、具体的に注意を喚起できないか。検討の余地はあろう

▼国民の安全に責任を負う人たちも「正常性バイアス」に陥ってはいないか。大雨への警戒が続いていた5日夜、自民党議員が議員宿舎で宴会。安倍晋三首相や、甚大な被害を出した広島県が地元の岸田文雄政調会長の姿も。ご丁寧に笑顔で杯を掲げる写真までネットで公開した。緊張感のかけらも、被災者への配慮も見られない

▼もり・かけ問題や数々の不祥事を、ごまかし、言い繕い、形だけ謝ってやり過ごしてきた1強政権。「大抵のことは大丈夫」「支持率は下がらない」と、おごりのバイアスが働いているのでは。今回も「問題はなかった」と開き直るのだろう。

=2018/07/12付 西日本新聞朝刊=

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