新政府軍と旧徳川幕府軍との間で150年前に起きた戊辰戦争…

 新政府軍と旧徳川幕府軍との間で150年前に起きた戊辰戦争。緒戦は京都南部での鳥羽伏見の戦いだった。旧幕府軍は数倍の兵を擁していながら大敗。徳川政権の崩壊を決定付けた

▼さまざまな敗因が指摘されている。将兵の士気の低さや準備不足。有能な指揮官や組織的な戦術も欠いていた。友軍から支援拒否にも遭う。さらに予想外の強敵がいた。「風」である

▼布陣する新政府軍に対し、旧幕府軍は北上して京に入ろうとした。時は1月。比叡山などから吹き下ろす強い北風を連日、正面から受けた。たたき付けるような砂ぼこりを浴びた幕府方の銃兵は、狙いを定めるどころか目も開けられずに苦しんだという

▼科学技術が発達した現代でも風を正確に読むのは難しい。わけても「民意」という風は難解で、向きも強さも時々で変化する。軽く受け流して読み誤ると命取りにさえなる

▼来年は選挙イヤーだ。春は統一地方選、夏に参院選と続く。気になるのは最近、九州各地の選挙で投票率の低さが目立つこと。ささやかで、微力とさえ思える1票。けれど順風でも逆風でも私たちが風を吹かすには、ここから始めるしかない

▼徳川家康は「水はよく船を浮かべ、またよく覆す」と語ったそうだ。為政者という船を浮かせるも沈めるも民次第。子孫や側近に専横を戒めた言葉という。タヌキと呼ばれながらも民の力、風の怖さを知るリーダーでもあった。

=2018/12/03付 西日本新聞朝刊=

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