「うまーかめんたいこば作って、みんなば幸せにしたかとです」…

 「うまーかめんたいこば作って、みんなば幸せにしたかとです」。空襲で焼け野原となった福岡・中洲で小さな食料品店を開き、めんたいこ作りに夢を懸けた男がいた-

▼日本で初めてめんたいこを製造し、博多の名物に育て上げた「ふくや」創業者の川原俊夫さんをモデルにした映画「めんたいぴりり」。福岡県内で今日から先行上映される(全国公開は18日)

▼日本統治下の韓国・釜山で育った主人公は懐かしい「たらこのキムチ漬」を基に日本人に喜ばれる味を生み出そうと努力を重ねる。主人公夫妻の哀歓を通して高度成長の道を歩む「昭和」も描かれる

▼平成最後の年を迎えた今、日韓関係が「ぴりり」である。従軍慰安婦問題や元徴用工訴訟、海上自衛隊機へのレーダー照射などで対立が深まるばかり。だが、一歩街に出れば、韓国から訪れた多くの旅行客が日本の文化や味覚を楽しんでいる

▼日本の方も若者は韓国のアイドルグループに熱中し、韓流ドラマの人気は根強い。反日、嫌韓の感情をあおって政治利用したり商売にしたりする勢力やメディアの思惑にかかわらず、隣国の良いところは素直に受け入れているようだ

▼韓国の「味」で日本人を幸せにする。その逆もあろう。互いの「うまかー」を認め理解する努力の方が、相手を一方的に非難するより、よほどいい。主人公のせりふが耳に残る。「与えた恩は水に流せ、受けた恩は石に刻め」

=2019/01/11付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]