本の世界でも“リバイバル”がある…

 本の世界でも“リバイバル”がある。それも書かれた内容が以前にも増して説得力を帯び、読者をうなずかせる。昨秋、16年ぶりに復刊された「役人道入門」(中公新書ラクレ)はまさに、そんな本である

▼著者は西日本シティ銀行会長の久保田勇夫さん。旧大蔵官僚時代の豊富な経験を基にした同書は第1章の冒頭でこう説く。「正確な文章を書くことは役人の基本である」。記者もはっとさせられる

▼てにをは、誤字脱字の話ではない。国の施策は役人が作成する企画立案書を基に練り上げられる。その文章に事実誤認や偏りがあれば国政を危うくする

▼故に正確な情報をできる限り多方面から収集・分析し、「それこそ神にも通じる心境で中立的に叙述すべし」と。要は国益や公益を踏まえて職責を全うすること。2章以降でも役人としての心得、やりがいなどが詳述されている

▼永田町・霞が関では失態劇の“リバイバル”が続く。官僚らの文書改ざん、統計不正などはもちろん国会答弁などで不勉強や非常識を平然とさらす閣僚たち。五輪有望選手が病の宣告を受けたことに「がっかりした」という五輪担当相の言葉には国民こそががっかりした

▼本の世界で例えるなら、こうした姿は「絶版」にしたい。その上で「政治家道」の基本を説く新刊の入門書が必要ではないか。さて誰に執筆してもらうか。政界を見渡してもすぐに思いつかないのが悲しい。

=2019/02/16付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]