省庁職員の怠慢を物語る出来事が続く…

 省庁職員の怠慢を物語る出来事が続く。精勤さで信を厚くした時代もあったのに、と思いつつ手元の国語辞典で「公僕」の項を引くと…

▼〈権力を行使するのでなく、国民に奉仕する者としての公務員の称〉とある。〈ただし実情は〉と断って〈理想とは程遠い〉と続く。三省堂の「新明解国語辞典」(第4版、1989年)だ。個性的な語釈で人気がある

▼この辞書を縷々(るる)調べた作家赤瀬川原平さんは「私は変な気がした。読書のような気持ちになった。辞書なのに」と思った(自著「新解さんの謎」文春文庫)

▼文例には編者の個人的体験を想像させるものや、国語辞典としてはユニークすぎる場面設定が出てきたりする。「足りる」の文例が〈五千円あれば一週間は何とか足りる〉だったり、「嬉(うれ)しい」が〈あいつもだめだったかと思うと、嬉しくなっちゃう〉だったり

▼“新解さん”は「苦労人。世の中に対しさめた目を持っている」と赤瀬川さん。「実社会」を〈複雑で、虚偽と欺瞞(ぎまん)とが充満し、毎日が試練の連続であると言える、きびしい社会を指す〉と説明する態度からそれがうかがえる。“新解さん節”は第4版が一番濃いそうだ。以後の版では薄れた項目もあるのが残念な気もするが

▼話を最初に戻す。「公僕」を引いたら「選良」も引きたくなる。〈選出された、りっぱな人の意。代議士の異称〉だが〈理想像を述べたもので、現実は異なる〉。

=2019/02/17付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]