今年の干支(えと)はイノシシ…

 今年の干支(えと)はイノシシ。だが、磯田道史著「江戸の備忘録」によると中国、韓国を含め「国際的にはブタ年」だという。なぜ日本だけ特殊なのか。答えは「大陸と違ってブタを飼っていなかった」から

▼日本でも弥生時代に北部九州の一部で養豚をしていた。しかしすぐに廃れる。餌を与えて飼うより山で野生のイノシシを捕る方が手っ取り早かった

▼続いて仏教も伝来。肉食は嫌われ日本からブタがいなくなった。そこに干支が入ってきたためイノシシを充てることにした、との解説だ

▼古い付き合いなのに近年の肩身は誠に狭い。福岡市内ではイノシシによる農作物の被害は約3300万円(2017年度)。年々増加の傾向にある。昨年は西区で男性がかまれて大けがをした。人里に出没して人に危害を加える事例は年に数件起きている

▼福岡市は4月から「イノシシ課長」を新設するそうだ。離島や山間部も含めて集中捕獲を実施。専門業者に生息調査を委託し、効果的な対応策を検討する。併せて生ごみの適正処理など「人里に近づけない啓発」にも取り組むという

▼天神や博多駅周辺の再開発が脚光を浴びる九州一の都会。けれど「里山のことも忘れずに」と逆にイノシシが問うているようでもある。最後に再び前掲の書から。聞こえはイマイチの「ブタ年生まれ」。けれどご安心。干支の本場中国ではブタは金運の象徴とあがめられているそうです。

=2019/02/18付 西日本新聞朝刊=

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