昨年秋に菊池寛賞を受賞した東海テレビ(名古屋市)「ドキュメンタリー劇場」11作目の「眠る村」が全国で順次公開中…

 昨年秋に菊池寛賞を受賞した東海テレビ(名古屋市)「ドキュメンタリー劇場」11作目の「眠る村」が全国で順次公開中。1961年に三重県名張市葛尾地区で起きた「名張毒ぶどう酒事件」(5人死亡)に迫っている

▼予告編をネット上で見た。村人のこんな言葉が出てくる。「誰か一人はここ(葛尾)からお縄を付けて出さないといけなかったんですよ」

▼94年に起きたオウムの「松本サリン事件」発生直後の人々の反応に相通じるところがある、というジャーナリスト江川紹子さんの指摘(「名張毒ブドウ酒殺人事件 六人目の犠牲者」、新風舎文庫)を思い出す

▼サリンという毒ガスの恐怖が、警察とマスコミが怪しんだ会社員による犯行説をあおり、それを補強する“情報”を住民が提供したりした。容疑者扱いされた会社員河野義行さんは、誰でも冤罪(えんざい)に加担する恐れが…と訴え続けている

▼名張の事件は一審無罪が逆転で死刑が確定した。高裁の再審開始決定を同じ高裁が取り消し、それを最高裁が取り消して差し戻したこともある。謎の多さが数奇な経緯をたどらせた。4年前に奥西勝元死刑囚は獄死し、再審請求は妹が引き継いでいる

▼「眠る村」を監督した斉藤潤一さんを本紙は先月の「ひと」欄で紹介した。先輩ディレクターの取材を継ぎ、村人の証言に立ち返ったという。九州での上映は福岡市のKBCシネマ(3月25日と28日)などで。

=2019/03/17付 西日本新聞朝刊=

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