連呼の季節である…

 連呼の季節である。地方創生への公約を掲げ、街頭でひたすら声を張り上げる立候補者。選挙カーに乗る運動員らも候補の名を繰り返し叫んで有権者に手を振る。福岡や大分など11道府県知事選を皮切りにした統一地方選

▼「あと一歩です」「勝たせてください」「なにとぞ、ご支援を」。投票日が近づくにつれ、マイクの声は“お願い”調に変わる。1票を争う戦いだから気持ちは分かる。でも、こちらはどうか

▼スポーツ選手がよく口にする「応援、よろしくお願いします」。悪気はないと思うが、プロ競技ではどこか違和感もある。応援がなければ結果が出せないのか、と。さすがにこの男は違った

▼ついに現役引退を表明した大リーガーのイチロー選手。「自分は“応援よろしく”とは絶対に言わない。応援していただけるような選手であるためにやるべきことを続けていく」。これが彼の信条だった

▼「イチロー、イチロー」。こちらの連呼は自然に湧き起こり、試合後も続いた。一昨日、最後の舞台となった東京ドーム。打撃で数々の金字塔を打ち立て、守備や走塁でもファンを魅了した野球人生。その原動力はたゆまぬ自己研さんだった

▼政治家も含めプロは結果を出してこそ。ファンや有権者にこびても始まらない。「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行く唯一の道だ」。イチロー選手が実感を込めた、この言葉も思い出す。

=2019/03/23付 西日本新聞朝刊=

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