他人を欺いて金品を得ようとたくらむ不届き者は、いつの時代にもいるもの…

 他人を欺いて金品を得ようとたくらむ不届き者は、いつの時代にもいるもの。江戸期には、大名家や商家の前で切腹や行き倒れのふりをして、立ち退き料をせしめる者がいたという

▼落語家の古今亭志ん生師匠もだまされた経験がある。住んでいた粗末な長屋に物売りがきた。売れ残った最後の蚊帳なので格安で譲る、と言われ、なけなしの金で買い求めた。夜、喜々としてつるすと天井部が全くない品だったそうだ

▼そんな手口が牧歌的とさえ思えるのも、現代の犯罪に狡猾(こうかつ)さと凶悪ぶりが目立つためだろう。資産状況などを聞き出すアポイントメント電話、通称「アポ電」の被害が深刻さを増す。詐欺が転じて強盗になり、東京では痛ましい犠牲者が出た

▼国民生活センターは重ねて注意を呼び掛けている。電話機の「着信番号通知、録音機能」を活用する、家族構成や資産状況を聞かれたらすぐに電話を切る、家族を名乗る電話は一度切ってかけ直す-などだ

▼被害者の中には後遺症に苦しむ人もいるという。自らを過度に責めたり、家族から不注意をなじられたりして精神的にダメージを負う例もあるそうだ。金銭の損失以上に重大な被害といえる

▼福岡県内ではテレビ局の名をかたったアポ電が、今月の1週間で6件あったと警察が発表した。幸い被害は出ていないが、くれぐれもご注意を。報道機関が財産や預貯金の話をすることは断じてありません。

=2019/03/25付 西日本新聞朝刊=

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