【福岡コンフィデンシャル】麻生氏意向公募に持ち込む

知事選の推薦候補を公募することについて記者会見する自民党県連選対委員会の大家敏志委員長(右から2人目)=15日、福岡市内
知事選の推薦候補を公募することについて記者会見する自民党県連選対委員会の大家敏志委員長(右から2人目)=15日、福岡市内
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 「以前は出ると言ってたじゃないか。どう落とし前つけるんだ。だったら俺が推す候補を全力で応援しろ」。北九州市内で自民党県連の選挙対策委員会が開かれた9日、副総理兼財務相の麻生太郎は、知事選への出馬を拒んだ自民県連会長蔵内勇夫にいら立ちをぶつけた。その場で蔵内に、麻生の意向に従うよう県議をまとめることを迫った。

 6日後、県連選対委員長で麻生派の参院議員、大家敏志は知事選候補の公募を発表。公募に否定的だった県連幹部の意向をよそに「広く募りたいと思っていますので、意欲のある方は応募していただければ」と涼しげな表情で語った。

 現職知事、小川洋は当時、水面下で県連幹部に推薦を要請していた。それを差し置いての異例の対応は、小川の対抗馬擁立にこだわる麻生の意向だ。麻生は周辺にこう漏らしていた。「公募に持ち込めば、こっちでどんな絵だって描ける」

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 現職を他の候補と横並びにし、ふるいにかける公募。その狙いは何なのか。

 「小川を引っ張り出した上で、ダメだという烙印(らくいん)を押して出馬させなくするつもりだろう」。自民関係者は指摘する。小川を引きずり下ろすことができれば、麻生の意中の人物に一本化できる-との読みだ。

 ただ、小川が公募に応じる保証はない。「小川が公募に手を挙げなければ、自民推薦は別の人物になる。小川は自民の敵とみなされる」。自民ベテラン県議は小川に揺さぶりをかける。

 では、別の人物とは-。蔵内は日本獣医師会長の仕事に専念するとの理由で麻生の要請を断った。参院議員として県内で知名度がある松山政司の名前も浮上しているが、松山は周囲に「私の仕事は(所属する岸田派会長の)岸田文雄を首相にすることだ」と語り、転身に否定的だ。

 大家は周囲に「びっくりするようなタマ(人材)がいる」と豪語するが、その輪郭はまだ見えない。現在、県連には元財務官僚で九州大教授の谷口博文が推薦願を出しているだけだ。

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 一方の小川も座して待っているわけではない。県連が公募を決めた翌16日、県内を視察で訪れた官房長官の菅義偉に同行。菅に3選出馬への「不退転の決意」を伝え、「『応援する』との言葉をもらった」とカメラの前で胸を張った。

 17日に党務復帰した自民党幹事長の二階俊博は検査入院中、党幹部を通じて「推薦を出すから心配いらない」との言葉を小川に送っている。小川周辺はこう言い切る。「自民推薦がもらえなければ、県民党の立場で戦えばいい」

 2016年の衆院福岡6区補選では、麻生が全面的に推し、県連が公認申請した候補を党本部が公認せず、県連の選考に漏れた候補に大敗した経験がある。「今回は保守分裂だけは避けなければならない」。県連幹部の胸中には2年前のトラウマがよみがえる。

 ただ、小川としても今後の県政運営を考えると、自民県連とたもとを分かち選挙戦に突入したくないのが本音。果たして、小川の「のるかそるか」の判断は。

 17日夜、麻生の地元、飯塚市であった小川の政治資金パーティー。終了後、記者団に意向を問われた小川は、こうけむに巻いた。「まだまだこれからですよ」 (敬称略)

=2018/12/19付 西日本新聞朝刊=

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