【福岡コンフィデンシャル】知事選「与野党対決」回避 立民、現職推薦取り下げへ 小川氏誤算異例の辞退

1月30日の記者会見では、立憲民主党の推薦を「大変ありがたい」と語っていた小川知事だったが、方針転換を余儀なくされた
1月30日の記者会見では、立憲民主党の推薦を「大変ありがたい」と語っていた小川知事だったが、方針転換を余儀なくされた
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 立憲民主党が、福岡県知事選(4月7日投開票)に3選を目指して出馬表明している現職の小川洋氏(69)の推薦を取り下げる方向で検討していることが31日、分かった。小川氏が党県連に提出していた推薦願を取り下げたい意向を示したことを受けた措置で、党県連は来週中にも判断する見通し。

 小川氏は立民のほか、自民、公明、国民民主、日本維新の会、社民の5党に推薦願を提出し、1月29日に立民の推薦を得た。だが、自民は30日に元厚生労働官僚の武内和久氏(47)の推薦を決定。立民県連幹部によると、小川氏から「与野党対決」の構図が際立てば、幅広い支持を得にくくなるとして推薦取り下げの打診があったという。

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 1月30日夜、立憲民主党福岡県連代表、山内康一の携帯が鳴った。

 「『与野党対決』になるのはよくない。幅広く県民の支持を得たい」。電話の相手は福岡県知事選で自民党に推薦願を退けられた現職小川洋。立民が小川に出した党推薦を取り下げるよう求める「前代未聞」(立民関係者)の要請だった。

 同日午前、県庁であった定例知事会見。29日に決定した立民の推薦に話題が及ぶと、小川は「大変ありがたく、身の引き締まる思いです」と語った。この時点で自民が新人武内和久の推薦を決めたことは、まだ公になっていない。山内への電話は、そのわずか半日後だった。

 無所属での立候補意向ながら「幅広い政党、団体の支持や支援はありがたく、心強い」と繰り返し、共産党を除く県内の主要政党に推薦願を提出していた小川。だが、自民推薦が得られなかった瞬間、外形上、「野党候補」になった。

 小川支援に前向きだった公明党の支持母体、創価学会幹部は「なぜ先に立民から推薦をもらうのか。これで小川をやりにくくなった」とトーンダウン。小川支援を決めていた自民友好団体からも「安倍降ろしの急先鋒(せんぽう)の立民と一緒に選挙はやれない」との声が漏れ始め、小川の耳にも入った。

 一方、自民推薦を得た武内側は「与野党対決」の構図に勝機を見いだす。31日に福岡市内であった党県連と友好団体などとの会合で、県連政調会長吉松源昭は「今回は保守分裂選挙と言われるがそうではない。自民対立憲民主、与党対野党の戦いだ」と強調。県連内には小川支持を明言する議員もおり、武内推薦を主導した副総理兼財務相、麻生太郎の周辺は「政党色のない無所属現職の支援ならまだしも、野党系候補を応援したら大問題だ」とけん制してみせた。

 自民が武内を単独推薦することはないとみて、立民の推薦を受けた小川。不利になるとみるや方針転換する姿勢に、立民県連関係者からは「節操がない」と不満も漏れる。

 だが、立民にとっては自民候補を破る千載一遇のチャンスでもある。「勝つためなら推薦を下げて『オール福岡』の形にした方がいい」(県連幹部)。小川が全政党への推薦願を取り下げることなどを条件に、矛を収める方向だ。

 「想定外だったが、自民推薦が別の方に出た。県民に広く支持をいただくために無所属で頑張りたい」。30日夜、福岡市内の会合で「県民党」をアピールした小川。「政治の流れ、駆け引き、タイミング…。この8年、知事は学んでいない」。31日、小川側から推薦願の保留を申し入れられた国民民主党県連幹部は嘆いた。 (敬称略)

=2019/02/01付 西日本新聞朝刊=

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