【福岡県政点検】(4)観光・企業誘致 宿泊税決着見通せず

資生堂が九州初となる新工場を建設することが決まった久留米・うきは工業団地
資生堂が九州初となる新工場を建設することが決まった久留米・うきは工業団地
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 「国道3号線沿いの店にはたくさんの人が来てくれる。それをどうやって町内の山や海へ誘導していけるかだ」

 7日、福岡市で開かれた「ふくおか観光地域リーダー共創塾」のプロジェクト発表会。一般社団法人「新宮町おもてなし協会」の木本紳一郎事務局長は、地域が抱える観光戦略の課題についてこう意見を述べた。

 今や一大産業、地方創生の核と位置づけられる観光。県内を訪れる外国人客も伸びており、昨年は船舶上陸も含め過去最高の327万人に達した。

 一方、増加に伴い、受け入れ環境の充実やごみの投棄などの「観光公害」への対策も急務となっている。だが、政府が地域の観光戦略の司令塔として全国に設立を促す日本版DMOに登録されている法人は、県内にはまだない。県内の外国人観光案内所の設置件数は28カ所。九州・沖縄で唯一、英語を含む3言語以上での対応が可能な「カテゴリー3」が3カ所あるとはいえ、全体では福岡よりも人口の少ない静岡(51カ所)や広島(35カ所)に後れを取っている状況だ。

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 観光分野では、昨年起こった宿泊税導入を巡る県と福岡市の対立問題も未解決のままだ。

 ホテルや旅館などの宿泊客から徴収する宿泊税は、税収を観光振興策に充てることが目的。2002年に全国で初めて導入した東京都は多言語案内板設置などに活用している。

 県は年間の税収を36億円と見込むが、市は独自課税を譲らず、両者の協議は平行線。市内で旅館業を営む50代の男性は「レジシステムの変更など新税に対応するには準備が必要。秋には消費税の増税も控えているので、早く決着させてほしい」と訴える。

 小川洋知事も、昨秋の県議会で早期解決へ「職を賭す覚悟で臨む」と答弁。だが、県の担当者は「知事選の争点にもなっており、選挙が終わってからでないと議論は前には進まない」との見通しを示す。

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 県が苅田町に造成した新松山臨海工業団地(約40万平方メートル)。12日、同団地に進出する紙おむつ大手「ユニ・チャーム」の製造子会社の竣工行事があり、小川知事は「団地の立地第一号。県も事業活動が円滑に進むよう精いっぱい支援していく」とあいさつした。

 2月には、化粧品大手の資生堂の九州初となる新工場が久留米・うきは工業団地に建設されることも決定。県によると、小川県政が誕生した11年から17年までの企業立地は390件。計3900億円超の設備投資があり、計6900人超の雇用が生まれたという。

 小川知事は記者会見などでこれらを2期8年の実績として強調。しかし、元県幹部は「知事は当初、どちらの団地の造成にも『塩漬けになったら困る』と消極的だった」と打ち明ける。

 「北部九州自動車150万台生産拠点構想」などをぶち上げ、新規の産業育成・振興施策を次々と打ち出した麻生渡前知事。後を継いだ小川知事には、産業界から中小企業へのきめ細かい支援施策への評価の声がある一方で、「商工業施策に求められるのは、時代を先取りしたアイデアと挑戦だ。今の県政にはそれがない」との指摘もある。

 =おわり

=2019/03/15付 西日本新聞朝刊=

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