【2019知事選ルポ】(1)福岡 自民分裂敵意あらわ

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 北部九州の「へそ」にあたる福岡県筑豊地区。その中心都市、飯塚市の街頭で23日午後、3選を目指す現職小川洋氏がマイクを握った。「思いを同じくする人たちと一緒になって政党と戦う選挙だ」

 飯塚市は県政界の最高実力者、麻生太郎副総理兼財務相の金城湯池だ。小川県政の「生みの親」とされる麻生氏だが、今回は自民党推薦候補として新人武内和久氏の擁立を主導。小川氏は、いわば敵陣営の本丸に乗り込んだことになる。

 「川筋プロジェクト」と銘打ったこの日の運動は、小川氏を支える県医師連盟、連合福岡などの推薦団体や創価学会がともに行動。陣営幹部は「相手の牙城で命懸けの気持ちで動ける人がどれくらい出てくるか。それが全体の士気につながる」と、狙いを解説する。

 武内氏の党本部推薦を安倍晋三首相に直談判して取り付けた麻生氏の手法に県連内でも嫌悪感が広がり、県内の衆院小選挙区選出11人のうち6人が小川氏側に付いた。山崎拓元副総裁ら重鎮も小川氏を支える。

 麻生氏は22日、こうした動きを「造反だ」と非難。これに対し、武田良太衆院議員は「誰も党には造反していない。麻生に反発しているだけだ」と敵意をむき出しにした。

 意気上がる小川氏陣営だが、内実は分裂選挙の影響が随所に出ている。過去2度の選挙では、自民県議が「手足」としてフル回転。だが今回は人手が足りず、告示日のポスター張りが他の2陣営に比べ大きく遅れた箇所が複数あった。小川氏周辺は「向こうは巨大組織。こっちは手弁当でやるしかない」と漏らす。


   ■    ■

 一方の武内氏。23日は福岡市東区や博多区でつじ立ちや遊説を繰り返し、「大胆に政策転換し、福岡市とタッグを組み県を元気にする」と県政刷新を訴えた。

 武内氏陣営にとっても、分裂選挙の悩みは深い。本来は国会議員が就くべき小選挙区ごとの選対本部長のポストが埋まらず、組織づくりは告示直前までずれ込んだ。知事選と同日投票の県議選に立候補予定の現職には、「支援者から『なぜ小川じゃないのか』と突き上げられ、理解してもらえない」と県連に「泣き」を入れる者も出ている。

 県連は20日、緊急三役会を開き、接戦模様の県議選候補者は知事選に関わらなくてもいいとの通知を出すことまで検討したが、結論は出なかった。党本部に対し、国会議員の「造反」組への指導を求める文書も送ったが、なしのつぶてだ。

 それでも麻生氏や周辺は強気の姿勢を崩さない。党本部に、岸田文雄政調会長ら派閥幹部の来援を要請。武内氏陣営が自民「正規軍」だと強調し、「造反」組を足止めするためだ。麻生氏に近い高島宗一郎福岡市長も陣営に引き込み、大票田の都市部で無党派層を掘り起こす戦略も描く。

 共産党推薦の新人、篠田清氏は「自民党の中の争いで県民不在も甚だしい」と批判。中学3年までの医療費完全無料化などを公約に掲げ、「県民の命と暮らしを守る県政に変えよう」と訴える。

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 平成最後の大型地方選挙となる11道府県知事選は4月7日の投開票に向け、攻防が繰り広げられている。注目の現場を報告する。

=2019/03/24付 西日本新聞朝刊=

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