増えぬ女性擁立、家庭と両立が壁 九州の県議選候補者 相談窓口や活動見直しも

 5月に成立した「政治分野の男女共同参画推進法」は、政府が掲げる「2020年までに指導的な立場の女性を30%に」という目標の柱になる重要な法だ。しかし来春の統一地方選に向け、地方議会の現場では、同法が求める「候補者数の男女均等」を実現するための動きが出ているものの、法と現実のギャップを埋めるほどの有効な対応策が見いだせていない。

 西日本新聞が九州の各党県組織に行った調査で分かったのは、特に議員数が多い党で現職が「壁」になっていることだ。自民福岡県連は現時点で45人を擁立予定で、うち女性は1人。松本国寛幹事長は「現職(男性)を女性にすげ替えるというのは現実的ではない」と説明。他組織からは「女性を増やす必要性は特に感じない。個々の資質が大事」との回答もあった。

 これに対し、女性の擁立や候補支援の動きもある。現在、女性県議ゼロの自民宮崎県連は元市議の女性2人が県議選に立候補を予定。国民民主は都道府県議選の公認の新人女性に260万円を支援する。立憲民主も新人女性県議には男性より50万円上乗せし、女性向けの相談窓口も設置する。こうした党本部の施策もあり、立民福岡県連は候補予定6人のうち3人が女性だ。

 回答で目立ったのは「手を挙げる女性がいない」という点だ。背景には議員活動と家庭の両立の難しさがある。働きやすい環境づくりや活動内容を見直す動きも出てきた。

 共産福岡県委員会の内田裕書記長は「スタッフを手厚く配置するなど、議員の負担を軽減したい」と話す。立民福岡県連では育児との両立のため、ある女性の市議選候補予定者が朝のつじ立ちをしない決断をした。同県連の藤田一枝幹事長は「政治に意欲がある女性が立候補できるように議員活動の在り方も見直していかなければならない」と指摘する。こうした政治家のワークライフバランスについて、公明党福岡県本部の浜崎達也幹事長は「もちろん大事だが、議員は県民の負託を受けており、民間と同じようには難しいのでは」と複雑な心境を明かす。

 取材を通して複数の県組織幹部が「強制力のない法で女性議員を増やすのはそもそも難しい」と漏らした。人口比率は男女半数なのに、議員数比率が著しく偏っている現状は民主主義の質を歪めかねない。多様な住民の意見を反映するには、多様な議員が必要で、女性議員増はその一歩だ。各党の本気度が問われる。

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=2018/12/31付 西日本新聞朝刊=

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