【地域の針路】議会の災害行動指針4割 九州240議会、災害頻発で策定増

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 相次ぐ災害に議員はどう動くべきか、議会として地震や豪雨発生時の行動指針を定めているのは九州7県と全233市町村のうち96議会(40%)だった。西日本新聞の地方議会アンケートから集計した。233市町村を対象にした2017年調査の57議会(24%)に比べ、九州での大規模災害発生を受けて増加している。一方で、策定した議会で地震発生時に取り決め通りに議員が集まらないなど、実効性の向上も課題になっている。

 指針は、地域の実情に詳しい議員のネットワークを被災情報の収集に活用する▽個々の議員が災害対策本部に緊急対策を求める混乱を防ぐ-などが狙い。具体的に「議会内に連絡会議を設け、議員から集約した情報を災害対策本部に提供する」(長崎県対馬市)、「広域的な応援態勢が必要な場合、関係自治体の議会と連携を図る」(熊本県人吉市)などと定めている。

 福岡県那珂川市や長崎市、大分市、熊本県大津町などは一歩踏み込み、災害が発生した場合の議案審議の流れを明文化するなどした業務継続計画(BCP)も策定。災害復旧事業などのチェック機能を果たしながら、早期実施を目指すため、一般質問や委員会審議を省略したスピード裁決の仕組みを想定している。

 早稲田大マニフェスト研究所(東京)が全国の地方議会を対象に昨年実施した調査では595議会(45%)が策定済みで、九州はおおむね全国並み。九州豪雨(17年)、西日本豪雨(18年)と災害が頻発する中、取り決めが広がっている。

 九州豪雨で被災した福岡県東峰村議会は昨年、指針を策定。率先して被災者救助や避難所支援に努め、議会事務局を窓口に執行部側とやりとりすることを明文化した。高橋弘展(ひろのぶ)議員は「九州豪雨では議会として何も対応できなかった。議会機能維持へ将来的にはBCPをつくりたい」と話す。

 ただ、策定した議会で指針通りに動けなかった事例も出ている。熊本県玉東町議会は「震度4以上の地震や大雨、台風の警報発令時に自主的に集合する」と申し合わせていたが、今年1月に発生した震度5弱の地震で議員は誰も集まらなかった。「地域に被害がないことは確認したが、地震の大きさを考えると集まるべきだった」と、町議の一人は反省した。4月の統一選改選後、より具体的な行動指針を目指して話し合うという。

■指針生かすため訓練を

 新川達郎・同志社大大学院教授(行政学)の話 単に指針を策定しても災害時に議員が動かなければ話にならない。災害時にどう動くかを頭と体に覚えさせるため、自治体の防災訓練に合わせ、演習などの日常的な訓練が必要だ。定数削減の中で、被災情報の収集と提供といった議員一人一人の役割はますます重要になる。災害が多発化しており、復旧事業の監視も含め、議会が常に機能している状態を事前に定めておくことが一層求められている。

=2019/03/12付 西日本新聞朝刊=

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