【おおいた再考】(4)産業 小粒化する企業誘致

杵築市山香町で実施されたドローンの実証実験。山間部での荷物配送を目指し、民間企業が開発を進めている=5日
杵築市山香町で実施されたドローンの実証実験。山間部での荷物配送を目指し、民間企業が開発を進めている=5日
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 「ブオーン」。山に囲まれた杵築市山香町の広場に小型無人機ドローンのプロペラ音が響く。今月5日、山間部での荷物配送を目指し、自動操縦のドローンを使った実証実験。実施企業の一つで機体や制御ソフト開発「モバイルクリエイト」(大分市)の村井雄司社長は「急ピッチで開発が進んでいる。数年のうちには、いろんな場面で活用が始まる」と展望する。

 県内のドローン関連企業は同社を含め15社。県外からの参入や起業が続く。ドローンは農薬や肥料の散布、橋や工場の点検、土地の測量など多くの産業で活用が見込まれており、民間の調査では、市場規模は2016年度の353億円から24年度は3700億円と10倍に拡大する予想だ。

 市場拡大を見据え、県は関連産業の集積をもくろむ。機体やソフト開発メーカーに加え、導入を目指す建設業、製造業、農業の関係団体、行政機関による「県ドローン協議会」を17年に設立。18年には、試験飛行場や高性能な測定装置を備えた開発拠点・先端技術イノベーションラボを大分市の県施設に開所し、開発を後押ししている。

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 平松守彦氏、広瀬勝貞氏と、経産省出身の知事2人は、産業振興策として企業誘致を掲げた。この間、キヤノン(国東市、大分市、日田市)や、ダイハツ(中津市)など大手製造業の工場が県内に立地し、雇用を生んだ。

 「人が定着するには魅力的な仕事をつくること。企業誘致は年々記録を更新している」。5期目を目指す広瀬氏は胸を張る。知事就任から17年度まで、企業の立地や増設は376件。雇用者数は1万8562人、投資額は8869億円に上る。15年度30件、16年度36件、17年度55件と、3年連続で過去最多を記録した。

 ただ、近年は1件あたりの雇用者数や投資額が小規模化している。07年度は27件で雇用2403人、投資額1429億円だったが、17年度は55件で1369人、540億円。件数は倍増でも雇用者数は約千人、投資額は約900億円減った。県によると、かつてのような大手製造業でなく関連企業の立地や増設が増えたことが大きな要因だ。

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 1980年代、大分キヤノン、ソニーセミコンダクタが立地した国東市では、両社が千人を超える雇用を生み税収も上向いた。しかし、市の担当者は「雇用は生まれても、市内に住む人は半数もいない」と嘆く。地元の不動産業者も「家賃が2倍、3倍でも、交通や買い物の利便性が高い杵築市や日出町を住居に選ぶ人が多い」と明かす。国東市の人口は、この10年で約6200人減り2万6884人(2月1日現在)。雇用増が、そのまま地元の振興につながらないもどかしさがある。

 県人口も114万2943人(18年10月1日現在)で1996年から23年連続減。17年以降、それまで増えていた大分市を含めて全18市町村で減っている。日銀大分支店が昨年まとめたリポートは、人口減を緩和させるためには「技術革新や新しいビジネスモデルの構築により収益を拡大、賃金を上昇させ、若者の流出に歯止めをかける必要がある」と指摘する。

 従来型の雇用創出だけでなく、ドローンをはじめとする産業集積や研究開発能力の向上により、地場を含む企業自体の力を高められるかが問われている。

=2019/03/17付 西日本新聞朝刊=

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