【2019知事選ルポ】(2)北海道 5野党共闘、実は薄氷

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 北の大地にはるばるやって来たのは、玉城(たまき)デニー沖縄県知事だった。告示を控えた20日夜に札幌市であった野党統一候補、石川知裕氏の総決起集会。「石川さんを新しいリーダーとして応援し、北と南で信頼の絆を築こう」。両者が壇上で手を取り合うと、大きな拍手と指笛が鳴り響いた。

 政府、与党が総力で支援した候補を「オール沖縄」勢力が破った昨年9月の沖縄県知事選。その玉城氏を迎え、マイクを握った石川氏は「オール北海道で私を支援する会を結成していただきありがとうございました」と述べ、野党共闘の実現に感謝を示した。

 全国11道府県知事選で唯一、与野党対決の構図となった北海道。立憲民主、国民民主、共産、自由、社民の5党が推薦する石川氏と、自民、公明両党が推薦する鈴木直道氏の新人同士の一騎打ち。野党にとっては、夏の参院選での共闘に向けた試金石でもある。

 元々、北海道は労働組合の強固な支持基盤があって野党が強く、「民主王国」と呼ばれた。だが、2017年の衆院選時に旧民進党が分裂したことで、立民と国民の間できしみが生じている。「野党共闘の象徴の玉城氏を招くことに意義があった。北と南から安倍政権を変えようという機運を高めたい」。連合北海道幹部はこう話した。

 21日の告示日。北海道胆振(いぶり)東部地震で被災した厚真町で行われた石川氏の第一声に野党幹部の姿はなかった。「真っ正面から戦って負けた場合、立民が痛手を負うことは避けたい」(党関係者)との思惑も働く。党首級がそろうのは31日の街頭演説のみの予定だ。

 小沢一郎自由党共同代表の元秘書で衆院当選3回。告示日最後の演説は地盤の帯広市で行った。雪が強風に舞い、気温は零度を下回ったが、1200人(主催者発表)が集った。

 だが、石川氏の選対関係者は野党共闘について「実際は薄氷だ」。選対は立民が主導しており、国民関係者は「細かい情報まで共有できず、うちは蚊帳の外だ」と不満を口にする。その成否は参院選に少なからぬ影響を与えることになる。

 与党の支援を受ける鈴木氏は、東京都職員から夕張市長に転じ、再建に取り組んだ実績を訴える。

 夕張市の財政破綻当時、総務相だった菅義偉官房長官は法政大の先輩で親しい間柄。鈴木氏は21日朝の出陣式で「国、北海道、市町村が一体となって人口減少などの課題を乗り越えないといけない」と訴え、国とのパイプを強調した。この日は、自民党の甘利明選対委員長、公明党の斉藤鉄夫幹事長も駆け付けた。

 ただ、多くの自民道議や経済界が別の現職官僚の擁立に動いた経緯もあり、陣営内での融和に腐心する。

=2019/03/25付 西日本新聞朝刊=

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