「勝手な人間」ですか 東京報道部 久保田 かおり

 40歳、子なし。そんな私は「勝手な人間」だと名指しされていると感じた。

 「このごろ、子どもを産まない方が幸せじゃないかと、勝手なことを考えている人がいる」。自民党の二階俊博幹事長は6月末、都内の講演でこう発言した。

 1度結婚した私は仕事との両立などを考え、子どもはつくらなかった。「産まない方が幸せ」とは思わないが、言うまでもなく子を産むかどうかは個人の選択。国から押し付けられることではない。産みたいと願っても、さまざまな事情でかなわない人もいる。それぞれ他人には分からない悩みや苦しみ、葛藤がある。

 二階氏は、こうも語った。

 「みんなが幸せになるためには、やっぱり子どもをたくさん産んで、国も栄えていき、発展していく方向にしようじゃないか」

 要は「お国のため、産めよ、殖やせよ」ということか。一方で、安倍晋三政権は「女性活躍」を掲げているんだから、冗談はやめてほしい。

 国に貢献しなくていいと言っているわけではない。国家への貢献を理由に個人の生き方や選択の自由を否定していいのか、と問いたいのだ。加えて国や社会への貢献の仕方は、子づくりに限らず、さまざまな形があるはずだ。

 小学生の頃、体調不良の私を度々、病弱だった母の代わりに学校に迎えに来てくれるおばちゃんがいた。おばちゃんには子どもがおらず、私を実の子のようにかわいがり、母を手助けしてくれた。

 「おばちゃんには子どもがおらへんから暇やねん。ちょっとは役立たなあかんからな」と自虐ネタにして笑っていた。つらい思いをたくさんされたんだろうと思う。

 私の場合は「子どもがいなくても、記事で地域社会や国家に貢献してますからっ!」と言えたら格好良いのだろうが、そこまで自信過剰にはなれない。仕事をさせてもらい、それで税金を納めて社会への責任を果たす、ぐらいか。

 二階氏の発言は氷山の一角だ。東京で取材して約5年半、複数の自民党議員(もれなくおじさん)に「独身貴族だし、気楽だね」「女は子ども産んで一人前」などと言われた。彼らの思考は驚くほど「昭和」だ。「いやいや」と突っ込むのも疲れるぐらいに。

 生き方を政治家や国に決められるのはごめんだし、子どもの有る無しで女性を評価・選別する愚かさに、そろそろ気付いてほしい。

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 ▼くぼた・かおり 大阪府出身、神戸大大学院修了。2003年入社。社会部、熊本総局、社会部を経て、2013年から東京支社報道部。

=2018/07/14付 西日本新聞朝刊=

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