韓国大統領の「1人飯」 論説委員 小出 浩樹

 韓国では、1人で食事する人は「友達がいない、かわいそうな人」と思われる。「変人」とも。ウリ(われわれ)意識が強いお国柄からか。

 ここ数年「1人飯」への抵抗感は薄れているようだが、それでも食堂でわざわざ携帯電話で誰かと話しながら、ご飯をほおばる人もいる。友達はいるとのアピールという。

 韓国の有力紙「朝鮮日報」の電子版に、気になる見出しを見つけた。〈「1人で食事」する文大統領〉

 文在寅(ムンジェイン)大統領は最近1人で食事することが多く、周囲に驚かれるというコラムだ。ファン・デジン政治部次長が書いている。「1年365日、1095回の食事のうち昨年、大統領が国民との意思疎通のために割いた食事は、計28回だ」。公開された動静から分析したという。

 別のコラムでイム・ミンヒョク論説委員は「日本に激怒するだけでいいのか」と題し、いわゆる徴用工問題などでの文氏の強硬姿勢をただしている。「日本に容赦ないのはいいが、その後の戦略は何なのか、多くの外交関係者らが大統領に尋ねているのだ」

 今年に入り、文政権の対日姿勢が「一線を越えた」と危ぶむのは、日本人だけではないようだ。1度は認めた「レーダー照射」に端を発した興奮ぶりは尋常ではない。文喜相(ムンヒサン)国会議長の「天皇謝罪要求」に至っては、もはや壊れてしまったかと心配になる。

 朝鮮日報の現地の読者投稿にも危機感が漂う。「大統領はまるで日本に厳格に対処するのが愛国だと思っている」「議長の発言は路地での子どものけんかレベル」

 韓国には建国後、反共(北朝鮮)と反日という否定的な対外フレームがあった。

 二つのうち、反共がなくなれば、どうなるのか?

 かつて知日派の韓国人記者から謎掛けのように問われた。その答えである彼の予言が今、現実味を帯びる。「反日の姿勢がより強まっていく」

 文氏を巡る最新情勢について、専門家がいろんな見方を示している。その最大公約数は、南北朝鮮の融和に前のめりになるあまり日本と米国を軽んじている、という点だ。

 米韓同盟はやがて解消されるという分析も。確かに朝鮮半島有事が遠のけば同盟の必要性は下がる。もとよりトランプ米大統領は在韓米軍の駐留経費を負担に感じている。

 文氏が今後、頻繁に食事を共にするのは誰なのだろう。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長なのか。「北朝鮮の核を、わが民族で共有した」などという悪夢だけはごめんである。

 今月末の第2回米朝首脳会談の行方が気になる。

=2019/02/15付 西日本新聞朝刊=

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