今天中国~中国のいま(24) 大陸でも「桜花入魂」

「桜の名所」として知られる北京の玉淵潭公園。日中友好を願い、日本から贈られた桜が起源だという
「桜の名所」として知られる北京の玉淵潭公園。日中友好を願い、日本から贈られた桜が起源だという
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 「知日」という中国人向けの日本情報誌がある。これまで「猫」「妖怪」「明治維新」などを取り上げてきた中、最新号が大反響を呼んでいる。インターネット通販では予約ランキング1位を記録した。タイトルは「桜花入魂」。そう、テーマは日本の桜である。

 小説家の辻村深月氏や写真家の蜷川実花氏、荒木経惟氏らが登場。浮世絵と桜、日本映画に見る桜、「明治天皇の好んだ桜アンパン」など内容は多彩だ。

 ヒットの背景には訪日旅行ブームがある。祝日の清明節(4日)に伴う連休を控え、日本への旅を考える人にとって格好の参考書にもなるようだ。「5年前だったら、こんなに売れていないでしょう」と同誌の女性編集者は言う。

 桜は中国にもある。北京の名所、玉淵潭公園は3月末に満開になり、平日昼でも芋の子を洗うような人出だった。日本と違うのは花見をしながら酒を飲まないこと。自撮り棒を駆使して競うように撮影している。

 国交正常化の翌1973年、日本から贈られた桜が起源らしい。「ロマンチックな気持ちになります」と女性(31)。日本製カメラを持った男性(25)は「いつか日本に行って撮影したい」と目を輝かせた。

 有名な江蘇省無錫市の公園のように、日本側が植樹した桜は今や花見の名所。湖北省の「武漢大の桜」は旧日本軍が占領時に持ち込んだ経緯から複雑に思う人もいるが、多くの人は美しさを素直にめでている。

 日本人の精神文化に触れる端緒にもなるだろう。中国のパンダのように、日本にとって桜は国境を超えて愛される強力なコンテンツだ。 (北京・相本康一)

 =随時掲載

=2017/04/03付 西日本新聞朝刊=

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