中国「自転車の王国」再び

バス停付近に並ぶシェアリング自転車。スマホで所在地を確認、解錠や施錠もできる=北京
バス停付近に並ぶシェアリング自転車。スマホで所在地を確認、解錠や施錠もできる=北京
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 すっかり春めいてきた北京。中心部の会社に勤める女性、賀さん(24)は最近、外で過ごす時間が増えた。理由は、自転車だ。

 以前は地下鉄で通勤していた。「満員電車がつらくて」。今は毎日、スマートフォンと連動し公共の場所なら乗り捨て自由なシェアリング自転車に乗っている。自宅まで1時間かかるが「健康にも良いから」。リュックを背に、軽やかに夕闇の街を走り去った。

 このサービス、北京では昨年、本格的にスタート。30分ごとに1元(約16円)、登録も支払いもスマホでできる手軽さが受け、あっという間に普及した。記者も利用してみたが、とにかく便利だ。参入企業は増え、最大手は33都市で計100万台を投入。各社の総登録者数は年内に5千万人に達するという。

 夕方になると、各社のオレンジ色、黄色、青色の自転車が何十台も走る光景に出くわす。地下鉄駅やバス停付近は、職場から乗ってきた人々が置いた車体でびっしり。かつての「自転車王国」が復活したようだ。

 無秩序な駐輪で歩行者の邪魔になったり、車体が壊されたりする問題も起きている。客を奪われた腹いせか、違法バイクタクシーの運転手が川に投げ込んだとか。当局も駐輪禁止地域を設けるなど規制し始めた。過当競争は激化しており、ビジネスモデルとして続けられるのか、心配になる。

 とはいえ、中国の人々は新しいものが大好き。同種の共用サービスは車や部屋、ファッションにも広がっているという。「共享経済(シェアリングエコノミー)」は、ひたすら膨張を続けてきた中国社会に新たな価値観をもたらすかもしれない。 (北京・相本康一)

 =随時掲載

=2017/04/06付 西日本新聞朝刊=

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