東南アジアにISの脅威 比ミンダナオ島、戦闘続く 拠点化阻止へ各国合同監視

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 東南アジアで過激派組織「イスラム国」(IS)の脅威が高まっている。支持者によるテロが多発し、フィリピン南部ミンダナオ島ではISに忠誠を誓うイスラム武装勢力と政府軍との戦闘が続く。東南アジア諸国連合(ASEAN)はISの拠点化を阻止しようと監視活動の強化に乗り出す。 (バンコク浜田耕治)

 「ASEANの少なくとも3カ国は、無策のそしりを受けないよう率先してパトロールを行う」。マレーシアのヒシャムディン国防相は今月3日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議でこう強調した。

 3カ国はマレーシアとフィリピン、インドネシアで、19日にもミンダナオ島周辺のスルー海などで合同の海上パトロールを始める。各空軍による監視活動も行う方針だ。背景には中東で劣勢のISが東南アジアに“浸透”することへの強い危機感がある。

 地元メディアによると、ミンダナオ島マラウイ市の戦闘は5月23日、ISに忠誠を誓うイスラム過激派「アブサヤフ」幹部の潜伏先を政府軍が急襲したのがきっかけ。すると別の過激派「マウテ」がアブサヤフ側に加勢し、激しい銃撃戦に発展した。両組織は刑務所から囚人を解放し、一般市民を人質に取って一部地域の占拠を続けている。

 ドゥテルテ大統領は戒厳令を出し早期鎮圧を目指したが、1カ月近くに及ぶ戦闘で軍と過激派、市民を合わせて300人以上が死亡。市民約千人が戦闘が続く市街地に取り残されているという。武装勢力には海上から密入国した中東などの外国人戦闘員も含まれており、ドゥテルテ氏はISが同島に拠点をつくろうとしていると指摘した。

 一方、イスラム教徒の人口が世界最多のインドネシアでは、既にISの影響が出始めている。首都ジャカルタでは5月24日、警官3人が死亡する自爆テロが発生し、警察はIS支持組織による犯行と断定した。

 シンガポールのウン・エンヘン国防相は、東南アジアにはISに忠誠を誓う31のテロ組織があるとした上で「これらが足場を築けば、ASEANにより多くの攻撃が行われる」と連携強化の必要性を訴える。

 日系企業の進出拠点となっているタイでは、分離・独立を求めるイスラム武装勢力のテロが最南部3県で頻発。タイ政府は「国内にISはいない」と強調するが、マレーシアとの国境の渡船場数カ所を閉鎖するなど、IS関係者の流入に神経をとがらせている。

=2017/06/19付 西日本新聞朝刊=

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