対北朝鮮ぶれるトランプ氏 武力行使示唆一転対話に前向き くすぶる限定攻撃論

 【ワシントン田中伸幸】緊張が続く北朝鮮問題について、最大の焦点は米国が北朝鮮への軍事行動に踏み切るか否かだ。米国内には限定的な先制攻撃で力を見せつければ、北朝鮮を非核化に追い込めるとの意見がある一方、攻撃すれば北朝鮮が反撃し、日本や韓国の被害は不可避などの理由で確率は低いとの見方もある。トランプ大統領は、武力行使をちらつかせたかと思えば、対話に前向きな発言をするなど予見不能。無策とも受け取られかねない言動が、混迷に一層拍車を掛けている。

 9日の南北閣僚級会談を受け、トランプ氏は対話継続中の軍事行動はないと表明、北朝鮮への態度を一気に軟化させた。11日の米紙ウォールストリート・ジャーナルとのインタビューでは、これまで挑発、批判してきた金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長について「私はたぶん非常にいい関係にある。(攻撃相手が)突然親友になったこともある」と発言するなど、北朝鮮との対話実現の可能性をにじませた。

 とはいえ、前日のノルウェー首相との会談後の会見で、近々戦争があるのかと記者に問われ「米軍幹部は私の知らない何かを知っているかもしれない」とはぐらかす一方、持論の「力による平和」の追求を改めて強調。北朝鮮へのけん制は続いている。

 米国内では限定的な先制攻撃の有効性を説く意見がくすぶる。昨年末には英紙が米政府関係者らの話として「米国が『ブラッディーノーズ(鼻血)作戦』を計画している」と報道。全面的な攻撃ではなく、昨春のシリアの軍事施設攻撃と同様、ミサイル発射直前の基地だけに対象を絞って破壊するなど、非核化への米国の本気度を示しつつ、被害は最小限に抑え、北朝鮮に核放棄を迫る作戦という。

 しかし、北朝鮮にしてみれば小規模でも攻撃を受けたことには変わりなく、多くの識者は「戦争の引き金になる」と危険視する。そもそも米核問題専門家のジェフリー・ルイス氏のように「トランプ政権には攻撃の計画はなく、はったりをかけているだけだ」といった分析も少なくない。

 加えて、トランプ氏が政策や戦略をどこまで理解しているかとの問題もある。

 トランプ氏は11日に議会下院が可決した、外国人のインターネット通信傍受に関する法案について、可決前にツイッターで批判。与党幹部らの指摘を受け、一転して法案の必要性を訴える投稿をした。「トランプ氏は内容を問わず、会議の最終発言者の意見に賛成する」との指摘すらある。

 言動にぶれが目立ち、政策遂行に不安が残るトランプ氏。「平昌冬季五輪が終わるまではいいが、その後、北朝鮮問題がどう動くか分からない」。日米外交筋はこう述べ表情を曇らせた。

=2018/01/13付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]