教科書「文革」項目削除へ 「中国歴史」改訂版流出 「失政隠し」市民ら批判

 【北京・川原田健雄】3月から中国の中学校で使われる歴史教科書から、中国社会を混乱に陥れた政治運動「文化大革命」(1966~76年)の項目が削除される見通しとなり、インターネット上で騒動となっている。文革を発動した毛沢東の過ちを認める表現も削られる見込みで、「負の歴史」の記述が後退することに市民から批判が噴出。出版社が釈明する事態となっている。

 騒動は、審査中とみられる代表的教科書「中国歴史」改訂版がネット上に流出したことが発端。香港メディアなどによると、改訂前の教科書には「文化大革命の10年」という独立した項目があったが、改訂版ではなくなった。文革の記述は別項目の中に残るものの、毛の過ちを説明する部分から「誤り」との記述は削除され、「動乱と災難」との見出しも消えていた。

 ネット上では「歴史を直視しなければならない」といった批判の書き込みが続出。出版元である中国教育省所属の人民教育出版社はコメントを出し、「文革は党や国家、人民に挫折と巨大な損失を与えた」など文革の問題点の記述を改訂版にも明記していると強調した。

 文革は毛が権力闘争のために大衆を動員した政治運動。「紅衛兵」と呼ばれた若者が毛と対立する政治家や知識人を攻撃し、多くの犠牲者を出した。中国共産党は「指導者が誤って引き起こした」と総括しているが、党最大の失政だけに、今回の教科書改訂には、文革を極力伏せようとする習近平指導部の意向が反映されているとの見方もある。

=2018/01/14付 西日本新聞朝刊=

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