92歳首相、俊敏改革 就任20日で事業見直し次々 マレーシアのマハティール氏

 【バンコク浜田耕治】マレーシアのマハティール首相(92)が10日の就任以降、矢継ぎ早に改革を断行している。28日にはシンガポールとの高速鉄道計画の中止を表明するなど、大型事業の見直しに次々と着手。ナジブ前政権で強まっていた中国依存を修正し、国の借金を圧縮して財政健全化につなげるのが狙いだ。

 「多大な費用がかかり、全くもうからない」。マハティール氏は28日の記者会見で、首都クアラルンプールとシンガポール間の約350キロを1時間半で結ぶ高速鉄道計画について、こう述べて廃止を表明した。

 事業費は600億リンギット(約1兆6千億円)が見込まれ、2026年の開通予定。国際入札手続きは昨年12月に始まり、日本と中国などが争っていた。シンガポールとの合意破棄で5億リンギット(約140億円)の違約金が発生する見通しだが、マハティール氏は「最終判断だ」とかじを切った。

 背景には深刻な財政事情がある。ナジブ前政権下で膨れあがった政府債務などの総額を精査すると、1兆リンギット(約28兆円)を超え、国内総生産(GDP)の8割に上ることが判明した。さらに新政権は6月1日から、公約で掲げた6%の消費税廃止を実行に移す。安定財源を失うため、歳出の削減が急務だった。

 見直しは高速鉄道だけにとどまらない。中国が現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の主要事業として重視し、既に着工した東海岸鉄道(約690キロ)についても、マハティール氏は「契約条件を再交渉している」とマレーシアの経済誌エッジに語った。

 マレー半島の東海岸と西海岸の重要港湾などを結ぶ同鉄道は、約550億リンギット(約1兆5千億円)の事業費の大半を中国が融資し、中国企業が建設を請け負っている。中国に巨額の債務を負うことから、マハティール氏は「わが国の経済に非常にダメージを与える」と必要性に疑問を示す。

 マハティール氏は選挙中から「マレーシアは中国からの借金を返済できない可能性がある」とAP通信に語っていた。スリランカは昨年、中国からの債務返済に窮し、南部の港湾の使用権を99年間、中国側に譲渡した。「借金のかた」に重要インフラを奪われた格好で、二の舞いは避けたいとの危機感も判断を後押ししているとみられる。

=2018/05/31付 西日本新聞朝刊=

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